「私には、自分の子どもが残るから大丈夫。そう思って彰良さんとお別れする決心をしました」
彰良さんは自分の拳で自分の膝を叩いた。
「そんな!母のことがあったからって...そんな......!」
「わからなかったんです!」
私は声を荒げた。
「私は、わかってなかったんです。好きな人を忘れることがこんなに難しいなんて。離れていればきっと気持ちは薄れると思っていました。お母様の激しい愛に比べたら私の恋なんてちっぽけで、すぐに忘れられる。だから大丈夫だって自分に言い聞かせてました。
でも、そんなことできなかった」
泣いてぐちゃぐちゃの顔を彰良さんに見られたくなくてうつむいたまま言う。
「萌を妊娠してるときも、萌を産んだあとも、私、いつも彰良さんに心の中で話しかけてた。たまに少しでも本を読めると彰良さんがなんて言うだろうってそればっかりになるし、声が聞きたくてなんども名刺の番号に電話しそうになるので、名刺を燃やしたり」
「深雪」
「萌が成長するにつれてどんどん彰良さんに似てくるからうれしかったりつらかったり。どんなに逃げようとしても自分の彰良さんを思う気持ちから逃げられない」
「深雪!」
ぎゅうっと、彰良さんから抱きしめられた。
「会いたかった。本当に会いたかった......」
彰良さんのかすれた声が切なくて私はさらに涙をあふれさせた。
じっと抱き合ったまま長い時間が流れた。その内、私の涙が落ち着いて、やっと身体を離した。
「俺たち、きっとお互いが必要なんだよ。もう、離れたくない」
彰良さんは、私の手に自分の手を重ね、ぎゅっと握った。
「私も......彰良さんと一緒にいたい、です。でも、お母様と鈴音さんのことが」
彰良さんがうなずいた。
「俺はこの二年くらい鈴音と会っていないんだ。ただ母と鈴音は会ってるようだ。母が鈴音との結婚をすすめるのは未だに続いている」
「じゃあ......」
「大丈夫だ。ちゃんと深雪を伴侶にすることを了解させる。俺の詰めの甘さが今回みたいなことを引き起こした。同じ過ちは繰り返さない。安心しろ」
肩を抱き寄せられ、私の頭が彰良さんの肩に乗る。誰かにこうして寄りかかること。その相手がまさに彰良さんであること。そこに深い安堵感があり、またじわりと涙がにじんできそうになる。
「もう、泣かないでくれ。それより深雪、俺の子について教えてほしい。名前は?産んだときどんなだった?」
私は子どもの名前が萌であること、出産のときのたいへんさ、沙雪がたくさんフォローしてくれたことなど、たくさん、たくさんの話をした。時にはスマホに撮った萌の写真を見せながら。彰良さんはなにを話しても興奮気味で驚いたり笑ったり大忙しだった。
すっかり日も暮れたころ、スマホが鳴った。沙雪からだった。
『深雪?今日、モール前で藤堂さんと会ったんだけどさあ、とっさに萌を私の子だって言っちゃった。大丈夫だった?』
まさか私の隣に彰良さんがいるとは思っていない沙雪の慌てた声が響く。
「うん......大丈夫だよ、多分ね」
どういうこと?と沙雪が不思議そうな声を出しているのがおかしくて笑ってしまった。
翌日、彰良さんは朝早い便で東京に戻った。萌に会いたがっていたが、もうすぐ東京で会えるのでその時を楽しみに待つそうだ。
そう、私は東京で彰良さんと暮らすことになった。もちろん萌も連れていく。彰良さんのマンションは空き部屋があるので、そこで暮らすのは問題ない。保育園を探すのが大変かもしれないが、そこは児童書出版社社長で、関わりのある保育園があるそうだ。そのツテをぜひ使わせてほしいと図々しく思っている。
「まさか藤堂さんが深雪を見つけだすとはねえ」
朝ご飯を食べながら、ことのなりゆきを聞いた沙雪は呆れたようにそう言った。
「日本中、どこの県に行っても書店で私の書いたPOPを探してたんだって」
今となってはくすぐったいような話だ。でもそれでこそ彰良さんだ。
「まあ、執念というか、なんというか愛の力だよねえ」
「愛かな」
つい口角があがってしまう。
「このお、幸せそうにしちゃってえ。よかったじゃない。やせ我慢するよりも欲しいものつかむ方がアリだよ」
欲しいものをしっかりつかみに行く沙雪に言われると説得力があった。
「うん。もうやせ我慢、しない」
おなかすいたー、と萌が起きてきた。
ありがとう沙雪。沙雪のおかげでいろんなことが頑張れたよ。私は自慢の姉に心の中で呟いた。
二度目の訪問となる彰良さんの実家。何度来てもやはり豪邸で気後れしてしまう。東京には沙雪も仕事があるから一緒に来ていて、今はホテルで萌と遊んでくれている。
萌をお母様とお父様に会わせたい気持ちもあったが、今回はお母様としっかりお話をするのがメインなので、萌との対面は先送りにした。
「ふう」
緊張で息を吐く。久しぶりにきちんとワンピースを着るというよそゆきのお洒落をした。ご実家のソファの並ぶ応接間で私は彰良さんと共にお母様を待つ。お父様はゴルフだそうだ。お母様のかつての恋の話も絡むので、お父様のいない時に来訪することにした。
初めて彰良さんのご実家に来た時も緊張したが、今回はまた違ったテイストで緊張していた。
神さま、どうかお母様とちゃんと話をさせてください。
心の中で祈っていると、彰良さんが手を握ってくれた。うなずいて、大丈夫だ、と合図してくれる。
家政婦さんがお茶を入れてくれ、ティーセットが並んだ頃、ゆっくりとお母様がやって来た。
「......お久しぶりね、深雪さん」
「はい」
ごくりと息をのんで返答した。私は一度、お母様の願いを聞き入れたが、それを裏切って今ここにいるのだ。何を言われてもいいよう覚悟はしている。
「母さん。電話でも話しただろう。俺は深雪と一緒になる。今日は来ていないが、三歳になる娘もいる。俺と深雪の子だ。三人で東京に暮らす。それを認めてほしくて、今日は来た」
「子どもですって?彰良の子かなんだかわかったもんじゃないわね」
ふっと鼻で笑われた。
「母さん。まぜっかえそうったって無駄だよ。俺、そっくりなんだ。間違いなく俺の子だよ」
「深雪さん。今さら出てきたっていうのはどういうこと?やっぱり子どもひとりで育てるのは大変でした、って彰良の経済力目当てなんでしょう。お里が知れるわね」
「違う。深雪を見つけたのは俺だよ。俺が一緒に暮らそうって説得した。俺たちはお互いが必要なんだ」
はあっ、とお母様は大きく息を吐いた。
「笑わせるわね。彰良、だまされてるのよ。あんたみたいな世間知らずには、後ろだてのしっかりした鈴音ちゃんみたいな子がいいのよ。鈴音ちゃんは今だってあんたのことを思っているのよ。きっと深雪さんより、立派な妻になるわ。目を覚ましなさい」
「母さん、俺を子ども扱いするな。深雪は最高の妻になる。俺の目に狂いはないよ」
「なに言って」
彰良さんとお母様のラリーが永遠に続くかと思われたその時、息を切らしてこの応接間に現れた人がいた。
「おばさま、待って」
私は遠目にしか見たことがなかったが、それが鈴音さんだとわかった。さらさらのロングヘア、上等なピンクのワンピース。誰が見ても格式のあるお家のお嬢様だと思うだろう。
「鈴音ちゃん、ちょうどよかったわ。あなたからも自分が彰良にふさわしいって言ってやってちょうだい。こんなどこの馬の骨かわからない女よりもずっとあなたの方が」
「おばさま、違うの」
鈴音さんは、両手をぎゅっと握りこんでいた。なにか重大なことを言おうとしている気配を感じて、私も彰良さんも黙って彼女を見ていた。
「私、彰良さんとは結婚できません。......私、おばさまに隠していたことがあります」
「鈴音ちゃん、なに言って」
「私、知ってたの。おばさまが父とつきあっていたこと」
ぴん、と空気が張りつめた。予想外の展開に鈴音さん以外の三人が動揺している。
「お母さん、お父さんと車に乗って事故にあって死んじゃったでしょう。お母さんあの頃、お父さんに女がいる、って悩んでた。よく眠れなかったって愚痴ってたから......あの事故はそんなお母さんが居眠り運転して引き起こしちゃったんだと思う」
「そ...そんな」
なにを言って、という顔をしてお母様がつぶやく。
「だから私、十六歳になっておばさまに彰良さんと結婚したらいいのに、って言われたとき、彰良さんと一緒になって藤堂家にもぐりこんで藤堂家をめちゃくちゃにしてやろうって思った。ずっと復讐してやろうって考えてたの」
お母様は言葉なく、固まっている。
「でも、大人になっていくに連れて彰良さん、私から興味なくしていっちゃって。思ってたようにいかなくて。それでもおばさまは彰良さんと結婚するように言うし。なんだか復讐も面倒になってきてホスト遊びとかもしてた」
「鈴音ちゃん、嘘でしょう。いつも私と仲がよかったじゃない。復讐なんて今思いついた嘘なんでしょう。ね、ほら今日だってこんなにかわいらしい。やっぱり彰良と結婚するのは鈴音ちゃんが」
「おばさま。ごめんね。私」
鈴音さんがしっかりお母様を見据える。
「私......妊娠してるの」
「えっ」
「ホストにも飽きたとき、庭師の伊藤に告白されて付き合うようになって......今、三か月なの。言い出せなくて......ごめんなさい」
鈴音さんは応接間を出て行った。
彰良さんは自分の拳で自分の膝を叩いた。
「そんな!母のことがあったからって...そんな......!」
「わからなかったんです!」
私は声を荒げた。
「私は、わかってなかったんです。好きな人を忘れることがこんなに難しいなんて。離れていればきっと気持ちは薄れると思っていました。お母様の激しい愛に比べたら私の恋なんてちっぽけで、すぐに忘れられる。だから大丈夫だって自分に言い聞かせてました。
でも、そんなことできなかった」
泣いてぐちゃぐちゃの顔を彰良さんに見られたくなくてうつむいたまま言う。
「萌を妊娠してるときも、萌を産んだあとも、私、いつも彰良さんに心の中で話しかけてた。たまに少しでも本を読めると彰良さんがなんて言うだろうってそればっかりになるし、声が聞きたくてなんども名刺の番号に電話しそうになるので、名刺を燃やしたり」
「深雪」
「萌が成長するにつれてどんどん彰良さんに似てくるからうれしかったりつらかったり。どんなに逃げようとしても自分の彰良さんを思う気持ちから逃げられない」
「深雪!」
ぎゅうっと、彰良さんから抱きしめられた。
「会いたかった。本当に会いたかった......」
彰良さんのかすれた声が切なくて私はさらに涙をあふれさせた。
じっと抱き合ったまま長い時間が流れた。その内、私の涙が落ち着いて、やっと身体を離した。
「俺たち、きっとお互いが必要なんだよ。もう、離れたくない」
彰良さんは、私の手に自分の手を重ね、ぎゅっと握った。
「私も......彰良さんと一緒にいたい、です。でも、お母様と鈴音さんのことが」
彰良さんがうなずいた。
「俺はこの二年くらい鈴音と会っていないんだ。ただ母と鈴音は会ってるようだ。母が鈴音との結婚をすすめるのは未だに続いている」
「じゃあ......」
「大丈夫だ。ちゃんと深雪を伴侶にすることを了解させる。俺の詰めの甘さが今回みたいなことを引き起こした。同じ過ちは繰り返さない。安心しろ」
肩を抱き寄せられ、私の頭が彰良さんの肩に乗る。誰かにこうして寄りかかること。その相手がまさに彰良さんであること。そこに深い安堵感があり、またじわりと涙がにじんできそうになる。
「もう、泣かないでくれ。それより深雪、俺の子について教えてほしい。名前は?産んだときどんなだった?」
私は子どもの名前が萌であること、出産のときのたいへんさ、沙雪がたくさんフォローしてくれたことなど、たくさん、たくさんの話をした。時にはスマホに撮った萌の写真を見せながら。彰良さんはなにを話しても興奮気味で驚いたり笑ったり大忙しだった。
すっかり日も暮れたころ、スマホが鳴った。沙雪からだった。
『深雪?今日、モール前で藤堂さんと会ったんだけどさあ、とっさに萌を私の子だって言っちゃった。大丈夫だった?』
まさか私の隣に彰良さんがいるとは思っていない沙雪の慌てた声が響く。
「うん......大丈夫だよ、多分ね」
どういうこと?と沙雪が不思議そうな声を出しているのがおかしくて笑ってしまった。
翌日、彰良さんは朝早い便で東京に戻った。萌に会いたがっていたが、もうすぐ東京で会えるのでその時を楽しみに待つそうだ。
そう、私は東京で彰良さんと暮らすことになった。もちろん萌も連れていく。彰良さんのマンションは空き部屋があるので、そこで暮らすのは問題ない。保育園を探すのが大変かもしれないが、そこは児童書出版社社長で、関わりのある保育園があるそうだ。そのツテをぜひ使わせてほしいと図々しく思っている。
「まさか藤堂さんが深雪を見つけだすとはねえ」
朝ご飯を食べながら、ことのなりゆきを聞いた沙雪は呆れたようにそう言った。
「日本中、どこの県に行っても書店で私の書いたPOPを探してたんだって」
今となってはくすぐったいような話だ。でもそれでこそ彰良さんだ。
「まあ、執念というか、なんというか愛の力だよねえ」
「愛かな」
つい口角があがってしまう。
「このお、幸せそうにしちゃってえ。よかったじゃない。やせ我慢するよりも欲しいものつかむ方がアリだよ」
欲しいものをしっかりつかみに行く沙雪に言われると説得力があった。
「うん。もうやせ我慢、しない」
おなかすいたー、と萌が起きてきた。
ありがとう沙雪。沙雪のおかげでいろんなことが頑張れたよ。私は自慢の姉に心の中で呟いた。
二度目の訪問となる彰良さんの実家。何度来てもやはり豪邸で気後れしてしまう。東京には沙雪も仕事があるから一緒に来ていて、今はホテルで萌と遊んでくれている。
萌をお母様とお父様に会わせたい気持ちもあったが、今回はお母様としっかりお話をするのがメインなので、萌との対面は先送りにした。
「ふう」
緊張で息を吐く。久しぶりにきちんとワンピースを着るというよそゆきのお洒落をした。ご実家のソファの並ぶ応接間で私は彰良さんと共にお母様を待つ。お父様はゴルフだそうだ。お母様のかつての恋の話も絡むので、お父様のいない時に来訪することにした。
初めて彰良さんのご実家に来た時も緊張したが、今回はまた違ったテイストで緊張していた。
神さま、どうかお母様とちゃんと話をさせてください。
心の中で祈っていると、彰良さんが手を握ってくれた。うなずいて、大丈夫だ、と合図してくれる。
家政婦さんがお茶を入れてくれ、ティーセットが並んだ頃、ゆっくりとお母様がやって来た。
「......お久しぶりね、深雪さん」
「はい」
ごくりと息をのんで返答した。私は一度、お母様の願いを聞き入れたが、それを裏切って今ここにいるのだ。何を言われてもいいよう覚悟はしている。
「母さん。電話でも話しただろう。俺は深雪と一緒になる。今日は来ていないが、三歳になる娘もいる。俺と深雪の子だ。三人で東京に暮らす。それを認めてほしくて、今日は来た」
「子どもですって?彰良の子かなんだかわかったもんじゃないわね」
ふっと鼻で笑われた。
「母さん。まぜっかえそうったって無駄だよ。俺、そっくりなんだ。間違いなく俺の子だよ」
「深雪さん。今さら出てきたっていうのはどういうこと?やっぱり子どもひとりで育てるのは大変でした、って彰良の経済力目当てなんでしょう。お里が知れるわね」
「違う。深雪を見つけたのは俺だよ。俺が一緒に暮らそうって説得した。俺たちはお互いが必要なんだ」
はあっ、とお母様は大きく息を吐いた。
「笑わせるわね。彰良、だまされてるのよ。あんたみたいな世間知らずには、後ろだてのしっかりした鈴音ちゃんみたいな子がいいのよ。鈴音ちゃんは今だってあんたのことを思っているのよ。きっと深雪さんより、立派な妻になるわ。目を覚ましなさい」
「母さん、俺を子ども扱いするな。深雪は最高の妻になる。俺の目に狂いはないよ」
「なに言って」
彰良さんとお母様のラリーが永遠に続くかと思われたその時、息を切らしてこの応接間に現れた人がいた。
「おばさま、待って」
私は遠目にしか見たことがなかったが、それが鈴音さんだとわかった。さらさらのロングヘア、上等なピンクのワンピース。誰が見ても格式のあるお家のお嬢様だと思うだろう。
「鈴音ちゃん、ちょうどよかったわ。あなたからも自分が彰良にふさわしいって言ってやってちょうだい。こんなどこの馬の骨かわからない女よりもずっとあなたの方が」
「おばさま、違うの」
鈴音さんは、両手をぎゅっと握りこんでいた。なにか重大なことを言おうとしている気配を感じて、私も彰良さんも黙って彼女を見ていた。
「私、彰良さんとは結婚できません。......私、おばさまに隠していたことがあります」
「鈴音ちゃん、なに言って」
「私、知ってたの。おばさまが父とつきあっていたこと」
ぴん、と空気が張りつめた。予想外の展開に鈴音さん以外の三人が動揺している。
「お母さん、お父さんと車に乗って事故にあって死んじゃったでしょう。お母さんあの頃、お父さんに女がいる、って悩んでた。よく眠れなかったって愚痴ってたから......あの事故はそんなお母さんが居眠り運転して引き起こしちゃったんだと思う」
「そ...そんな」
なにを言って、という顔をしてお母様がつぶやく。
「だから私、十六歳になっておばさまに彰良さんと結婚したらいいのに、って言われたとき、彰良さんと一緒になって藤堂家にもぐりこんで藤堂家をめちゃくちゃにしてやろうって思った。ずっと復讐してやろうって考えてたの」
お母様は言葉なく、固まっている。
「でも、大人になっていくに連れて彰良さん、私から興味なくしていっちゃって。思ってたようにいかなくて。それでもおばさまは彰良さんと結婚するように言うし。なんだか復讐も面倒になってきてホスト遊びとかもしてた」
「鈴音ちゃん、嘘でしょう。いつも私と仲がよかったじゃない。復讐なんて今思いついた嘘なんでしょう。ね、ほら今日だってこんなにかわいらしい。やっぱり彰良と結婚するのは鈴音ちゃんが」
「おばさま。ごめんね。私」
鈴音さんがしっかりお母様を見据える。
「私......妊娠してるの」
「えっ」
「ホストにも飽きたとき、庭師の伊藤に告白されて付き合うようになって......今、三か月なの。言い出せなくて......ごめんなさい」
鈴音さんは応接間を出て行った。



