「はい。バスの時間までもう少しあります」
「送ってやれなくてすまない。今日は反対方向の事務所に行かなくちゃいけないんだ」
私はにっこり微笑んだ。
「大丈夫です」
藤堂さんは目を細めて私の頬にチュッとキスをした。
「今度、温泉でも行こう。これからのことを話しあいたい」
「わ、ほんとに?」
温泉なんて大好きだ。しかも好きな人と行けるなんてすごいゴージャス感がある。
「いいところ探すからな。期待しておけよ」
わくわくして心が弾む。藤堂さんは私になにをしたら喜ぶかまるで最初から知っているみたい。
いつまでも離れがたかったが、なんとか玄関先でお別れをする。
「行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい。お気をつけて」
言いながら、わ妻っぽい!と心の中で少しはしゃいでしまった。
朝食に使った食器たちを片づけてしばらくしてから私も出勤した。
なんだか昨日の私と今日の私は違うんだろうな、と思う。道を歩いていてもそれがばれるんじゃないかと気が気でない。
でもきっと皆こんな特別な気持ちを抱えて恋人と離れて出勤するんだ。私は自分以外の誰もが恋愛上級者のように見えてまぶしかった。
吉永書店に行くと真奈美が先に更衣室で制服に着替えていた。
「あれさっぱりした顔してる」
更衣室には私たち以外誰もいなかったけれど、真奈美は小声でささやいた。
「うん......あれから藤堂さんうちの部屋に来てくれて。いろいろ誤解だったってわかった」
「そうなんだ。よかったじゃない。っていうか深雪、お肌がつやつやなんですけど?」
私は真っ赤になってしまう。そんなに簡単にバレてしまうもの?
「そのリアクションで読めた。あんたたちまさか」
「......察してください」
さらに小声で言う。こんなこと人がいなくても言葉にできない。
真奈美はひゅう、と声をあげてニヤニヤしている。
「当分、からかうからね。覚悟しておくように」
「や、やめてよ」
他の社員も入ってきたのでぴたりとこの話を止める。
それから軽く一週間は藤堂さんとの夜のことを思い出しては顔を赤くしていた。そして想像していたよりもずっと早く温泉に行けることになった。金曜日の夜に温泉旅館に泊まって次の日の午後はもう藤堂さんは仕事に行かなくてはいけない。せわしない逢瀬だけと、それでも藤堂さんに会えるだけでうれしい。
そうして金曜日当日。私と藤堂さんは、郊外の温泉宿へやって来ていた。古い木造建てのお宿で歴史を感じさせる。離れがいくつかあり、その内のひとつに泊まることになった。
柔らかい照明。高い天井に太い梁。部屋の中は温かく、少し寒い春の夜にはとても快適だった。
「落ち着くお部屋ですね」
うれしくなって藤堂さんに言う。
「ああ。以前、仕事が立て込んだ時にリフレッシュしたくて来たことがあって。いい雰囲気だったから深雪も気に入るんじゃないかと思ってね」
「はい!気に入りました!」
藤堂さんは目を細めてうれしそうにした。すぐに夕食の時間になってお料理がこの離れに運ばれてきた。
盛り付けの美しい懐石料理。藤堂さんは日本酒を飲んでいたので私もそれをいただくことにした。お料理が美味しくて箸が止まらない。
あまり飲み過ぎないようにして夕食後、部屋に備わった露天風呂に二回入った。一回目はのんびり一人で入っていたのだが二回目は途中で藤堂さんが入ってきた。
びっくりして湯の中で身を縮める。
「ふたりきりで入れるんだから利用しない手はないな」
「そ、そうですけど......」
藤堂さんとベットを共にしたけどやはり裸を見られるのは恥ずかしい。少し藤堂さんから離れていると藤堂さんは近寄ってきて、ひたと肩を触れ合わせた。
「こんなふうに過ごせるのを楽しみにしていたんだ。浴衣姿の深雪も見れたしな」
実はこの旅館では好きな柄の浴衣を選ぶことができてそれも楽しかった。私は薄桃色に花びらの絵が描かれたものにした。春らしくていいな、と思ったのだ。
「浴衣が選べて楽し...んっ」
藤堂さんの手がそっと私の胸に伸び、指先が私の胸の先端を擦る。鋭い快感がやってきて声が出てしまう。
藤堂さんの手はお腹をすべり足の間にやってきた。私のやわらかいところに触れる。湯の温かさのせいなのかそこはすでに敏感になっている。藤堂さんの指を吸い込むように腰が動いてしまって恥ずかしい。
「んんっ......」
やってくる快感にこらえきれなくなって藤堂さんにしがみつく。裸の胸に触れ合い濡れた身体が密着し、さらに興奮を煽る。
私は藤堂さんの指に絶頂までいかされてしまって声を抑えるのに必死だった。足の間の快感が落ち着くまで息を切らす。湯の熱さも手伝って頭がぼうっとする。
「ちゃんとベッドに行こうか」
タオルで身体を拭いた後、浴衣を羽織ったら藤堂さんが私を抱え上げた。
「きゃっ」
「こういう展開だったらお姫様だっこだろう。やはり」
やはりってなに。私は気恥ずかしいのと初めての経験なので藤堂さんの肩にしっかりつかまった。
それから私たちはベッドの中で何回も睦みあった。夜が深くなっていくとともに私たちもとめどなく身体を絡め合う。ずっと頭の中にピンク色の靄がかかったようになって理性はどこかへいってしまった。私は藤堂さんを受け入れることで精一杯だった。快感は前回よりももっと複雑で私を痺れさせた。まだまだ知らない感覚があることに驚かされる。
私も藤堂さんも明け方に裸のまま眠ってしまった。
目が覚めたときはなにも着てないことに恥ずかしくなった。断片的に覚えている藤堂さんの愛しかたが迫ってきてひとりで頬を赤くした。
「深雪、起きたのか」
下着と浴衣を身に着けてめくれたシーツを直していると藤堂さんも目が覚めたようだ。
「はい。おはようございます」
「もう服を着たのか。つまらないな」
藤堂さんはぐいっと私の腕をひっぱり自分の胡坐の上に私を座らせた。当然のようにキスが降ってきて深いキスが始りそうになる。私は藤堂さんの胸をそっと押して言った。
「だめです」
「どうして。昨日の続きだ」
「だってお腹がすいているんですもん」
私はこのお宿の和食中心の朝食を楽しみにしていたのだ。藤堂さんはちぇっと子供のように唇を尖らせてしぶしぶ浴衣に着替えていた。交互にシャワーを浴びて身支度を整える。
朝食をフロントにお願いするとお膳が運ばれてきた。
藤堂さんと向いあって美しくて美味しいお料理をいただく。
「深雪と結婚したらこんな朝が毎日あるんだな」
「は、はい」
改めて言われると背筋が伸びる。結婚というワードは藤堂さんの方からたびたび出てくるようになった。私も少しずつ藤堂さんと暮らす毎日を想像することが増えている。
勢いで結婚と口走っているのではなく、ちゃんとこれからのことを考えてくれているのがとてもうれしい。大事にされている感じがする。
「藤堂さんは朝はパン派ですか。和食派ですか」
「うーん。大体和食だが時々クロワッサンとコーヒーとかもいいな。深雪はどう」
「私も両方ですね。卵が好きなのでどちらにも卵料理はつけます」
そんなのんびりとした話を交わすのも旅行という時間を贅沢に使えるときだからこそだ。
こんなデート幸せすぎる。
洋服に着替えて少し旅館のお庭でも散策しよう、ということになった。
外は晴れ渡っていて、とても気持ちがよかった。木々や緑が整えられていて、眺めのいいお庭だ。しばらく歩くと小さな東屋があってそこに座る。
「山本深雪さん」
不意にフルネームで呼ばれてはっとする。
「俺と結婚してください。絶対幸せにする。後悔はさせないよ」
そう言った藤堂さんはスーツのポケットから小さな箱を取り出してぱかりと開けた。
中には宝石を見慣れない私にもわかるダイヤの指輪が収まっていた。
息をのんだ。
私、プロポーズされてるんだ......。
口から言葉を紡ぐ前に何だか感動してしまった。だって私の大好きな人が目の前で結婚を正式に申し込んでくれている。
いつかあるかもと思っていたけれど、それが今日なんて。
「......黙っていられると駄目なのかと思うが......」
私ははっとして、頭をぶんぶん振った。
「だ、駄目じゃないです。はい。私でよければ......藤堂さんのお嫁さんにしてください」
言いながらもぎくしゃくしてしまう。藤堂さんとの恋は私にとっては始まったばかりのもので結婚はもっと先だと思っていた。
でも心の中で自分にじゃあ嫌なの?ときくとそんなはずないじゃない!と即答していた。
「ありがとう。大事にするよ」
藤堂さんはそっと私の手を引き、指輪を左手の薬指にはめてくれた。そのまま抱き寄せられる。藤堂さんの胸に顔を埋めたまま、こんなふうに抱きしめられることがこれから自分の人生で何度もあるって思っていいんだ。
なんか......すごい。結婚って一緒に暮らしたりすること。一生ずっと側にいること。そんな毎日がやってきますよ、と今約束されたのだ。
藤堂さん、と私の声は震えた。
「私、うれしいです......」
胸がいっぱいになっていて、それを言うので精一杯だった。
しばらくじっと抱き合っていた。
温泉からの帰りの車の中で運転しながら藤堂さんが言った。
「深雪を両親に紹介したい。どうかな。俺はすぐにでも深雪と暮らしたいけど。ちゃんと段階を踏んできちんとしよう。まずうちの両親に会ってもらってそれから深雪のご家族にも挨拶に行きたい」
「送ってやれなくてすまない。今日は反対方向の事務所に行かなくちゃいけないんだ」
私はにっこり微笑んだ。
「大丈夫です」
藤堂さんは目を細めて私の頬にチュッとキスをした。
「今度、温泉でも行こう。これからのことを話しあいたい」
「わ、ほんとに?」
温泉なんて大好きだ。しかも好きな人と行けるなんてすごいゴージャス感がある。
「いいところ探すからな。期待しておけよ」
わくわくして心が弾む。藤堂さんは私になにをしたら喜ぶかまるで最初から知っているみたい。
いつまでも離れがたかったが、なんとか玄関先でお別れをする。
「行ってきます」
「はい。行ってらっしゃい。お気をつけて」
言いながら、わ妻っぽい!と心の中で少しはしゃいでしまった。
朝食に使った食器たちを片づけてしばらくしてから私も出勤した。
なんだか昨日の私と今日の私は違うんだろうな、と思う。道を歩いていてもそれがばれるんじゃないかと気が気でない。
でもきっと皆こんな特別な気持ちを抱えて恋人と離れて出勤するんだ。私は自分以外の誰もが恋愛上級者のように見えてまぶしかった。
吉永書店に行くと真奈美が先に更衣室で制服に着替えていた。
「あれさっぱりした顔してる」
更衣室には私たち以外誰もいなかったけれど、真奈美は小声でささやいた。
「うん......あれから藤堂さんうちの部屋に来てくれて。いろいろ誤解だったってわかった」
「そうなんだ。よかったじゃない。っていうか深雪、お肌がつやつやなんですけど?」
私は真っ赤になってしまう。そんなに簡単にバレてしまうもの?
「そのリアクションで読めた。あんたたちまさか」
「......察してください」
さらに小声で言う。こんなこと人がいなくても言葉にできない。
真奈美はひゅう、と声をあげてニヤニヤしている。
「当分、からかうからね。覚悟しておくように」
「や、やめてよ」
他の社員も入ってきたのでぴたりとこの話を止める。
それから軽く一週間は藤堂さんとの夜のことを思い出しては顔を赤くしていた。そして想像していたよりもずっと早く温泉に行けることになった。金曜日の夜に温泉旅館に泊まって次の日の午後はもう藤堂さんは仕事に行かなくてはいけない。せわしない逢瀬だけと、それでも藤堂さんに会えるだけでうれしい。
そうして金曜日当日。私と藤堂さんは、郊外の温泉宿へやって来ていた。古い木造建てのお宿で歴史を感じさせる。離れがいくつかあり、その内のひとつに泊まることになった。
柔らかい照明。高い天井に太い梁。部屋の中は温かく、少し寒い春の夜にはとても快適だった。
「落ち着くお部屋ですね」
うれしくなって藤堂さんに言う。
「ああ。以前、仕事が立て込んだ時にリフレッシュしたくて来たことがあって。いい雰囲気だったから深雪も気に入るんじゃないかと思ってね」
「はい!気に入りました!」
藤堂さんは目を細めてうれしそうにした。すぐに夕食の時間になってお料理がこの離れに運ばれてきた。
盛り付けの美しい懐石料理。藤堂さんは日本酒を飲んでいたので私もそれをいただくことにした。お料理が美味しくて箸が止まらない。
あまり飲み過ぎないようにして夕食後、部屋に備わった露天風呂に二回入った。一回目はのんびり一人で入っていたのだが二回目は途中で藤堂さんが入ってきた。
びっくりして湯の中で身を縮める。
「ふたりきりで入れるんだから利用しない手はないな」
「そ、そうですけど......」
藤堂さんとベットを共にしたけどやはり裸を見られるのは恥ずかしい。少し藤堂さんから離れていると藤堂さんは近寄ってきて、ひたと肩を触れ合わせた。
「こんなふうに過ごせるのを楽しみにしていたんだ。浴衣姿の深雪も見れたしな」
実はこの旅館では好きな柄の浴衣を選ぶことができてそれも楽しかった。私は薄桃色に花びらの絵が描かれたものにした。春らしくていいな、と思ったのだ。
「浴衣が選べて楽し...んっ」
藤堂さんの手がそっと私の胸に伸び、指先が私の胸の先端を擦る。鋭い快感がやってきて声が出てしまう。
藤堂さんの手はお腹をすべり足の間にやってきた。私のやわらかいところに触れる。湯の温かさのせいなのかそこはすでに敏感になっている。藤堂さんの指を吸い込むように腰が動いてしまって恥ずかしい。
「んんっ......」
やってくる快感にこらえきれなくなって藤堂さんにしがみつく。裸の胸に触れ合い濡れた身体が密着し、さらに興奮を煽る。
私は藤堂さんの指に絶頂までいかされてしまって声を抑えるのに必死だった。足の間の快感が落ち着くまで息を切らす。湯の熱さも手伝って頭がぼうっとする。
「ちゃんとベッドに行こうか」
タオルで身体を拭いた後、浴衣を羽織ったら藤堂さんが私を抱え上げた。
「きゃっ」
「こういう展開だったらお姫様だっこだろう。やはり」
やはりってなに。私は気恥ずかしいのと初めての経験なので藤堂さんの肩にしっかりつかまった。
それから私たちはベッドの中で何回も睦みあった。夜が深くなっていくとともに私たちもとめどなく身体を絡め合う。ずっと頭の中にピンク色の靄がかかったようになって理性はどこかへいってしまった。私は藤堂さんを受け入れることで精一杯だった。快感は前回よりももっと複雑で私を痺れさせた。まだまだ知らない感覚があることに驚かされる。
私も藤堂さんも明け方に裸のまま眠ってしまった。
目が覚めたときはなにも着てないことに恥ずかしくなった。断片的に覚えている藤堂さんの愛しかたが迫ってきてひとりで頬を赤くした。
「深雪、起きたのか」
下着と浴衣を身に着けてめくれたシーツを直していると藤堂さんも目が覚めたようだ。
「はい。おはようございます」
「もう服を着たのか。つまらないな」
藤堂さんはぐいっと私の腕をひっぱり自分の胡坐の上に私を座らせた。当然のようにキスが降ってきて深いキスが始りそうになる。私は藤堂さんの胸をそっと押して言った。
「だめです」
「どうして。昨日の続きだ」
「だってお腹がすいているんですもん」
私はこのお宿の和食中心の朝食を楽しみにしていたのだ。藤堂さんはちぇっと子供のように唇を尖らせてしぶしぶ浴衣に着替えていた。交互にシャワーを浴びて身支度を整える。
朝食をフロントにお願いするとお膳が運ばれてきた。
藤堂さんと向いあって美しくて美味しいお料理をいただく。
「深雪と結婚したらこんな朝が毎日あるんだな」
「は、はい」
改めて言われると背筋が伸びる。結婚というワードは藤堂さんの方からたびたび出てくるようになった。私も少しずつ藤堂さんと暮らす毎日を想像することが増えている。
勢いで結婚と口走っているのではなく、ちゃんとこれからのことを考えてくれているのがとてもうれしい。大事にされている感じがする。
「藤堂さんは朝はパン派ですか。和食派ですか」
「うーん。大体和食だが時々クロワッサンとコーヒーとかもいいな。深雪はどう」
「私も両方ですね。卵が好きなのでどちらにも卵料理はつけます」
そんなのんびりとした話を交わすのも旅行という時間を贅沢に使えるときだからこそだ。
こんなデート幸せすぎる。
洋服に着替えて少し旅館のお庭でも散策しよう、ということになった。
外は晴れ渡っていて、とても気持ちがよかった。木々や緑が整えられていて、眺めのいいお庭だ。しばらく歩くと小さな東屋があってそこに座る。
「山本深雪さん」
不意にフルネームで呼ばれてはっとする。
「俺と結婚してください。絶対幸せにする。後悔はさせないよ」
そう言った藤堂さんはスーツのポケットから小さな箱を取り出してぱかりと開けた。
中には宝石を見慣れない私にもわかるダイヤの指輪が収まっていた。
息をのんだ。
私、プロポーズされてるんだ......。
口から言葉を紡ぐ前に何だか感動してしまった。だって私の大好きな人が目の前で結婚を正式に申し込んでくれている。
いつかあるかもと思っていたけれど、それが今日なんて。
「......黙っていられると駄目なのかと思うが......」
私ははっとして、頭をぶんぶん振った。
「だ、駄目じゃないです。はい。私でよければ......藤堂さんのお嫁さんにしてください」
言いながらもぎくしゃくしてしまう。藤堂さんとの恋は私にとっては始まったばかりのもので結婚はもっと先だと思っていた。
でも心の中で自分にじゃあ嫌なの?ときくとそんなはずないじゃない!と即答していた。
「ありがとう。大事にするよ」
藤堂さんはそっと私の手を引き、指輪を左手の薬指にはめてくれた。そのまま抱き寄せられる。藤堂さんの胸に顔を埋めたまま、こんなふうに抱きしめられることがこれから自分の人生で何度もあるって思っていいんだ。
なんか......すごい。結婚って一緒に暮らしたりすること。一生ずっと側にいること。そんな毎日がやってきますよ、と今約束されたのだ。
藤堂さん、と私の声は震えた。
「私、うれしいです......」
胸がいっぱいになっていて、それを言うので精一杯だった。
しばらくじっと抱き合っていた。
温泉からの帰りの車の中で運転しながら藤堂さんが言った。
「深雪を両親に紹介したい。どうかな。俺はすぐにでも深雪と暮らしたいけど。ちゃんと段階を踏んできちんとしよう。まずうちの両親に会ってもらってそれから深雪のご家族にも挨拶に行きたい」



