そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

「♪〜」

 歌いつつ、眼前に迫り来る巨人のこぶしを見ながら、私は後悔していた。
 ……あと1箇所で歌い切れば終わりだと思って、油断したのがよくなかったんだろう。

 最初にいた場所では、悲鳴や破壊音は遠くから聞こえた。
 2箇所目は、より近くから聞こえた。
 3箇所目は、さらに近くから聞こえた。

 つまり、町を破壊している何者かが移動していないとすると、
 何者かに私のほうから近づいていっていた。

 今思えば、こうして鉢合わせてしまうのも、必然。

 当たったら致命傷。
 歌をやめて回避を試みることも考えたけど、私の身体能力じゃ避けられない。
 ゲームだから本当に私が死ぬわけじゃないけど、死亡ペナルティを受けた上で教会送りになる。

 魔法陣が完成するか、こぶしが私に届くか。
 どう考えたって、巨大なこぶしが私に当たるほうが先――の、はずだった。

「……危ない!」

 叫び声と共に、人影が割り込んできたりしなければ。