そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

「モモもすごいよ。【桃色の歌姫】って呼ばれてるの、知ってる?」
「知らないね……」
EFO(エフォ)内の身体(アバター)は髪色がピンクだし、名前もモモ。でもって歌唱魔術を歌いこなす。とくれば掲示板でノリでそういう感じの2つ名がつけられるのは必然ってわけ。今まで歌ってる後ろ姿くらいしか目撃されてこなかったけど、町襲撃バグの切り抜き動画が若干バズったし」
「……始めたときにそういえばプレイ場面の映像をSNSにアップしてもいいかどうか聞かれたけど、本当にアップしてたんだ。バグ修正をサボってやったのかな」
「修正が終わってからやったんだと思うよさすがに。動画がアップされてから10時間も経ってない。なんなら見る? 著作権引っかかったのかなんなのか、歌だけ音入ってないけど」
「いや、いいよ」

 金曜日当日メンテナンスでEFO(エフォ)に入れない状態のときにのんきに動画をアップしたらキレるけど、そうでないなら全然いい。
 早くEFO(エフォ)を遊べるように、息が詰まるような現実から離れられる安息の時間を早く用意できるように、なるべく早くしようとしていてくれたなら。



 解説をしてくれたあと、ようやく友達は文章の内容に目がいったようだった。

〝パーティ組んで参加するPKありのボス攻略〟

 パーティはチームみたいなもの。
 ボスは、私たちが倒すべき魔物の中でも特に倒すべきで特に強い、あの巨人みたいなやつ。
 でも、わからないことがある。

 集中を阻んで申し訳ないなと思いながら、真剣な瞳をしている友達に声をかける。

「PKって何?」
「プレイヤーキル」

 プレイヤーを殺す!?
 震え上がる私の心の声を読んだかのように、友達は続ける。

「殺せる、ってだけだけど、殺すことにメリットをつけてくるかもしれない。あと、メリットがなくても、PKすることそのものを楽しむ人もゼロではないから怖いね」
「ひっ…………」