そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

「な、な……」

 現実逃避したくなって、私は時計台を見上げた。
 ただいまの時刻、16時5分。

「……何が起こってるの?」

 ガシャンだかドゴーンだか、とにかく日常では聞こえてはならない大きな音が響いていた。遠くから悲鳴も聞こえる。

 私はファンタジーな街並みの中に立っている。そこまではわかる。
 さっきの「どうしても帰りたい理由」とは、16時になってすぐ、()()へ来たかったから。

 来る、と言っても歩いて来るというわけではなくて。

 家のベッドに寝転がり、いかつい機器を身につけて電源を入れる。
 それからネットに接続してログインする。
 そうやって来ることのできるここは、EFO(エフォ)というVRオンラインゲームの世界にある、ひとつの町だった。

 EFO(エフォ)、正式名称Eternal(エターナル) Frontier(フロンティア) Online(オンライン)
 あらかじめお知らせがあった通り、今日の0時から16時までは、「アップデートに伴うメンテナンス」とやらで一時的に遊べなくなっていた。
 そのぶん16時からは、新しい要素が追加されてより楽しく進化(アップデート)したEFO(エフォ)を遊ぶことができる。

 で、ワクワクしながら16時ぴったりに来てみたら、
 ファンタジーな街並みが現在進行形で破壊されていっている。
 ちょーっとよくわからない。