そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

「時間がないしどうしても気になるならまた後で……うん、覚えた」

 笑みに気を取られているうちに覚えきったらしい。
 その長ったらしい大文字小文字数字入り乱れたフレンド登録用IDを、この短時間で。
 そういえば昔からりっくんは記憶力が良かったな、と思い出す。

「それじゃ、()()()
「うん、()()

 そうしてログアウトする。
 またねと言えることが、すごく嬉しかった。





「……夢みたい」

 予定より早くログアウトすることになった私は、空いてしまった時間を何に充てることもできず、ただただ考えごとをしていた。
 嬉しい嬉しい嬉しい。本当に嬉しい。
 りっくんが遠くへ引っ越してから、ずっと私はりっくんと同等以上に素を見せられる相手を探して、結局見つけられずにいた。そんな今、二度と会えないんじゃないかとすら思っていたりっくんと、また会えただなんて。

 ピロンとスマホが鳴った。
 開けば、次々とメッセージが送られてくるのがわかった。

『マダメンテマタメンテ』
『今日遊べるかな?』
『30分くらいはログインできたみたいだけどなるみは入れた?』

 友達からだった。
 通知をオンにしている唯一の相手なので、そりゃそうなんだけど。
 彼女はりっくんほどではないけれど、かなり気を許せる、貴重な友達だった。普段ゲームをやらない私がEFO(エフォ)をはじめたのもこの子の影響で、今日も委員会さえなければ16時から一緒に遊んでいただろうし、委員会が終わり次第合流して遊ぶつもりだった。

「『ログインしてたよ』『なぜか街がボスに襲われててみんなで倒した』『遊びたいよね』……っと」

 打ち込んで送信し、スマホを投げ出すように置いて、ため息をつく。

「しばらくはメンテナンスが続きそうだし、明日に回してた課題とかもやった方がいいよね……」

 ああ、今日はほとんど勉強しないつもりだったのに。
 再会に浮かれるのもほどほどにしないとだなぁ……。