そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

 告げられたことを大まかにまとめると、「今から緊急で不具合を直すためのメンテナンスを行うから、速やかにログアウトしてください」とのことだった。

 ありがとうございました、んじゃまたー。
 そういう軽い調子で、1人、また1人とログアウトし、姿を消していく。

 私もログアウトしようとして、一つ心残りが浮かんだ。
 ――このままログアウトしたら、この広いEFO(エフォ)の世界で、次いつ彼と巡り会えるのだろう。

「りっくん!」
「モモ!」
「「フレンド登録しよう」」

 声をあげたのが同時で、つい笑ってしまう。
 フレンド登録すればメッセージが送れるようになる。
 なんのつながりもなくなってしまうよりは100倍良い。
 そう思って、互いに互いの端末に触れ、フレンド登録を済ませる。

「それじゃあ――」
「待って。念の為、フレンド登録用のIDもこっそり教えてくれない?」

 今度こそログアウトしようと思った私に、りっくんが真剣な表情で言った。

「え? 良いけど……」

 戸惑いながらも、周りにIDを聞かれないように、さっき解放されたばかりのメッセージ機能を使って送る。
 ちなみに聞かれないようにする理由は、IDを広く知られてしまえば、全く知らない人からフレンド申請される可能性があるから。というか言いふらされる可能性をゼロにするために今まで誰にも教えたことがなかったんだけど、りっくんなら口が堅いし大丈夫だろう。

 でも、すでにフレンドになっているのにIDを求めるのはなぜ。

「経験則。すぐにわかるよ」

 私の疑問を見透かしたように、りっくんはそう言って、意味ありげに笑った。