そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

 モモと最初に呼ばれたのは、このゲームを始める何年も前に、りっくんからだった。
 現実世界で私をモモと呼ぶのはりっくんただひとり。
 りっくんが連絡先を交換せずに引っ越してしまった今、現実世界でそう呼ばれることは無くなっていた。いや、EFO(エフォ)でだって、プレイヤー同士はさん付けで呼び合うことがほとんど。

『……やっぱり、モモ?』

 こんなにも懐かしい呼ばれ方をする日が、しかもりっくんからそう呼ばれる日が、また来るなんて。
 証拠とかは全然ないけど、でも、私はもう、リックさんがりっくんだと確信していた。

「りっくん、ひとつ聞いていい?」
「なに? モモ」
「リックの由来ってりっくん?」
「それを言うならモモだって」

 ああ、やっぱりそうなんだ。
 私はりっくんにモモと呼ばれてきたのを思い出してモモを名乗り、
 りっくんも、私にりっくんと呼ばれた影響でリックを名乗った。

「おそろいだね」

 ちなみにりっくんの本名は(りつ)だ。当時の幼かった私が舌っ足らずすぎて「律くん」が「りっくん」になってしまい、そのまま今に至る。
 りっくんも「鳴海(なるみ)」と言おうとすると漏れなく「なりゅみ」になっていたのでおあいこだ。