そして、500キロ離れたキミと手を繋ぐ

 小さな魔法陣が即座に組み上がり、じわりじわりと魔法陣が大きくなっていく。

「!?」

 効果にびっくりしたのか、リックさんが一瞬こっちを見た。
 そりゃ、驚きもするだろう。

 だってステータスが2倍になるスキルなんて、歌唱魔術の他にない。
 歌唱魔術の使い手がほぼ私だけ、私とリックさんは初対面だから、この効果を味わうのは当然はじめてだろう。

 歌唱魔術には2つのタイプがある。
 さっきまで張ってきた結界のような、歌い切ってはじめて魔力を消費し、ドカンと効果が出るタイプ。
 今歌っているやつみたいに、歌っている間、じわじわ魔力を消費し、じわじわ効果が出続けるタイプ。

 後者のなかで、1秒あたりに使う魔力量が圧倒的に多いのがこの「ステータス2倍」だった。

 どれだけ多いかというと、回復しなければあっという間に魔力が尽きてしまうくらいには……。
 残り魔力量/最大魔力量を示すゲージがみるみる減っていくのを見ながら、私は魔力を回復する貴重な液体を身体にぶっかけた。口から飲むより回復する量は少ないが、歌うのを止めたくない。

 この調子だと、ちょうど最初に張った結界が消えるぐらいに私の魔力も尽きるだろう。

 使う魔力が多いということは、それだけ効果も強いということ。
 最初に張った結界が消える(タイムリミット)までの短い間に最大限貢献できるのは、この歌だと思った。