調理場での一件以来、リーリエは退屈そうに窓の外を眺めていた。
外は生憎の雨。食べようとしていた卵は不良品で、他の食材はヴェルランドによって窓の外へと放り出されてしまった。
「…お腹すいた」
リーリエは盛大に溜息を吐くと、ふかふかのベッドへと横になる。昨晩から何も口にしていないため空腹が限界を迎えている。
「一体、あの方はいつも何を食べて生きているのかしら」
リーリエは天井を見つめながら、家主であるヴェルランドのことについて考えを巡らす。最初こそ恐ろしい雰囲気を纏っていたが、話してみると意外とそうでもない。話し方からしてみても賊のような野蛮さはなく、どことなく品を感じさせるのは気のせいだろうか。
(それに、腐った卵の見分け方まで教えてくれたし…)
リーリエは男から貰った配送サービスの紙を懐から取り出す。出て行けという割にこういったサービスを教えてくれるのは親切の何ものでもない。
「次の配送サービスが来るのは今日の午後三時…」
リーリエは壁にかけられた時計を見つめる。三時までは後一時間もある。
屋敷の中を自由に歩き回ることを許可されていないリーリエは仕方なくベッドで仮眠をとることにした。
それにしても、わざわざそんなサービスを利用する理由があの男にはあるのだろうか?
(普通は村で買うはずだけど…)
何やら訳ありな様子のヴェルランドを思いながら、リーリエは再び短い眠りについた。


