こっちを向いて、ヴェルランド。

リーリエと別れてからというもの、普段と変わりない生活に戻ったヴェルランドは庭に建てられた墓石の前に座っていた。

あれから特に便りがある訳でもなく、誰かが尋ねてくる訳でもなく、静かな毎日が戻った。

王国シリウスは君主制から、民主主義へと変わり、今では選挙で選ばれたシリウス国民が政治を担っている。

「そこに、リヒトが立候補したらしい…、よくやるよ」

ヴェルランドはリリィの墓に話しかける。

「何でもリヒトは、「裏商売はもうやめだ」といって政界進出を企んでいるらしい…」

先日彼からその事を打ち明けられたヴェルランドは応援するとだけ伝えた。

「それから…、家政婦を雇う事にした。今日が最後の面接日だ…」

ヴェルランド自身もずっと屋敷に引き篭もる訳にもいかず、最近はシリウスまで出向いて、厄介なモンスター討伐などを請け負っている。

お陰で屋敷のことまで手が回らず、家政婦を応募したところありがたい事に何通か応募があった。

「だが困った事に、どの応募者もかなりの高齢者だった。中には立つのもやっとという人も居たな」

ヴェルランドはリリィの墓に微笑みかける。

「だが、今日の応募者を含めた中で決めなくてはな…」

せっかく応募してくれたのだ、選り好みしている場合ではない。

「さて、そろそろ来る頃だ。結果はまたー」

「すみませーん!」

ヴェルランドが最後まで話し終えるよりも先に、求職者が門の扉を叩いた。

「ほらな、行ってくる」