ヴェルランドの発言通り、王を失ったシリウス兵はいとも簡単に戦意を喪失し戦場から撤退していった。
兵の中には、ようやくダンゼルの独裁政治が終わったと喜ぶ者もいれば、先程まで敵対していたカノープスに頭を下げて命乞いする者もいた。
「これじゃあ、封印されたダンゼルも浮かばれねぇな…、ちっとも支持されてねぇじゃねぇか」
シリウスという国がいかに腐っていたかを知ったリヒトは少し残念そうに溜息を吐く。
「何、これからはいい国になるさ」
ヴェルランドはどこか清々しく笑うと、嬉しそうに両親と抱き合うリーリエを見つめる。
「挨拶してきたら、どうだ?」
「挨拶?」
「おう。どうも、この度娘さんと付き合う事になった元クイーンハウンドのヴェルランドですって」
リヒトの言葉にヴェルランドは苦笑する。
「付き合ってない…」
「付き合わねぇのかよ」
「あぁ、彼女はこれから女王になるんだ」
女王の隣には立派な王が必要だ。
ヴェルランドは少し名残惜しそうにリーリエの姿を見つめる。
「彼女の王子は私ではない」
きっとこの先、彼女は素敵な王子に出会うだろう。その時は精一杯のお祝いをしてやらねば。
「さて、私はそろそろ戻ろう…」
「は?戻るって、あの屋敷にかよ…」
リヒトの言葉にヴェルランドは静かに頷く。
「あそこはリリィとの思い出の場所だ…離れる訳にはいかない」
「相変わらず、一途ですねぇ…」
リヒトの揶揄いにヴェルランドは顔を顰める。
「ダンゼルの屋敷地下から、複数の遺骨が見つかった。それも弔ってやらねば…」
きっと、その中にリリィの遺骨も混じっている。
「あぁ、それならさっき姫様がおんなじ様な事言ってたぜ?カノープス総出で今回の戦争犠牲者を弔うってな」
「そうか」
中々姫様らしいところがあるじゃないか、と思ったヴェルランドは優しく微笑む。
「んじゃ、まぁ解散ってことで。あ、そういや今回の報酬、銀行振込な!忘れたらただじゃおかねぇぞ!」
「あぁ、わかってる」
「じゃあな!、たまにはシリウスにも顔出せよ?」
「あぁ」
リヒトは嬉しそうに笑うと、いつもの様に自動式荷車に乗ってその場を後にした。
「さて、私も行くか…」
ヴェルランドは再度リーリエの姿を見つめる。久々の再会だからだろうか。先程からずっと両親と楽しそうに喋り込んだままだ。
「良かったな、お前の居場所に戻れて」
きっとこの先、色々なことがあるだろう。
それでも、どうか諦めないでほしい。
どうか、その笑顔を絶やさないでほしい。
ヴェルランドは小さく溜息を吐く。最後に視線でも会えば、さよならの一つも言えたかもしれないが、どうやらそれは無理そうだ。
「ちゃんと、送り届けたぞ…」
ヴェルランドは小さな声でそう呟くと、一人静かにその場から姿を消した。
兵の中には、ようやくダンゼルの独裁政治が終わったと喜ぶ者もいれば、先程まで敵対していたカノープスに頭を下げて命乞いする者もいた。
「これじゃあ、封印されたダンゼルも浮かばれねぇな…、ちっとも支持されてねぇじゃねぇか」
シリウスという国がいかに腐っていたかを知ったリヒトは少し残念そうに溜息を吐く。
「何、これからはいい国になるさ」
ヴェルランドはどこか清々しく笑うと、嬉しそうに両親と抱き合うリーリエを見つめる。
「挨拶してきたら、どうだ?」
「挨拶?」
「おう。どうも、この度娘さんと付き合う事になった元クイーンハウンドのヴェルランドですって」
リヒトの言葉にヴェルランドは苦笑する。
「付き合ってない…」
「付き合わねぇのかよ」
「あぁ、彼女はこれから女王になるんだ」
女王の隣には立派な王が必要だ。
ヴェルランドは少し名残惜しそうにリーリエの姿を見つめる。
「彼女の王子は私ではない」
きっとこの先、彼女は素敵な王子に出会うだろう。その時は精一杯のお祝いをしてやらねば。
「さて、私はそろそろ戻ろう…」
「は?戻るって、あの屋敷にかよ…」
リヒトの言葉にヴェルランドは静かに頷く。
「あそこはリリィとの思い出の場所だ…離れる訳にはいかない」
「相変わらず、一途ですねぇ…」
リヒトの揶揄いにヴェルランドは顔を顰める。
「ダンゼルの屋敷地下から、複数の遺骨が見つかった。それも弔ってやらねば…」
きっと、その中にリリィの遺骨も混じっている。
「あぁ、それならさっき姫様がおんなじ様な事言ってたぜ?カノープス総出で今回の戦争犠牲者を弔うってな」
「そうか」
中々姫様らしいところがあるじゃないか、と思ったヴェルランドは優しく微笑む。
「んじゃ、まぁ解散ってことで。あ、そういや今回の報酬、銀行振込な!忘れたらただじゃおかねぇぞ!」
「あぁ、わかってる」
「じゃあな!、たまにはシリウスにも顔出せよ?」
「あぁ」
リヒトは嬉しそうに笑うと、いつもの様に自動式荷車に乗ってその場を後にした。
「さて、私も行くか…」
ヴェルランドは再度リーリエの姿を見つめる。久々の再会だからだろうか。先程からずっと両親と楽しそうに喋り込んだままだ。
「良かったな、お前の居場所に戻れて」
きっとこの先、色々なことがあるだろう。
それでも、どうか諦めないでほしい。
どうか、その笑顔を絶やさないでほしい。
ヴェルランドは小さく溜息を吐く。最後に視線でも会えば、さよならの一つも言えたかもしれないが、どうやらそれは無理そうだ。
「ちゃんと、送り届けたぞ…」
ヴェルランドは小さな声でそう呟くと、一人静かにその場から姿を消した。


