アルベルトが姿を消して数時間後ー。
泣き疲れたリーリエは簡素なベッドに横たわっていた。特段寝るわけでもなく、ぼんやりと天井を見つめていると不意に誰かが耳元で囁いた。
(リーリエさん…、リーリエさん…)
長旅の疲労による幻聴とばかり思っていたリーリエは反応するでもなくその声に耳を傾ける。
(聞こえているならそのまま聞いて…、ヴェルランドは生きているわ)
「…生きてる」
(えぇ、彼は大丈夫。今から貴方を助けにくる…)
「私を…助けに?」
(だから、よく聞いて。彼が貴方を救うには【神官者の筆】が必要なの)
「神官者の筆…」
(その筆はダンゼルの執務室にある金庫の中にあるわ)
「金庫の中…」
(今から、その場所を貴方の頭の中に送るわ)
「頭の中に…」
(だから、そこから抜け出してその筆を見つけて)
リーリエはそこでようやく重たい身体を起こす。
「…貴方、誰なの?」
(私は彼を愛する者。貴方の味方よ)
「私の…味方…」
すると、リーリエの中にダンゼルの執務室への順路と金庫の場所が鮮明に映し出される。
「これは…」
(さぁ、考えている時間はないわ。早くそこを抜け出してダンゼルの執務室に行くの)
「でも、牢には鍵が…」
(それなら、貴方の味方がもう一人いるじゃない)
「私の…味方」
その時、ふとアルベルトの顔が思い浮かぶ。
(素直に鍵を開けてくれるとは限らないけど、きっと何か方法があるはずよ)
「何か方法…」
正直、アルベルトとは必要最低限の会話しかした事がない。彼の趣味も、彼の好みもよくわからない。
「何か、何か無いかしら…」
「何が無いんだ?」
突然、声をかけられたことにリーリエは分かりやすく驚く。
「驚かせてすまない。晩飯の時間だ」
アルベルトはそう言うと、盆にのせられた食事を小さな小窓から差し出した。
「食欲がないならー」
「あの!」
「…なんだ」
「えっと…、その…、よかったら一緒に食べませんか?」
「一緒に?」
唐突なお願いにアルベルトは少し不審がる。
「え、えぇ…、どうせ明日にはダンゼルの妻になってしまいますし、それに独身最後の晩餐がこんな牢の中というのも少し嫌だなぁと…」
リーリエは苦し紛れにいい訳を並べる。
「それに、私貴方のこともよく知りませんし…せっかくなら、この機会に…」
リーリエの言葉にアルベルトはどこか納得した様に微笑むと、意図も簡単にその牢の扉を開けた。
「悪く無い提案だ…。よし、ここに机を持ってこよう。少し待っていろ」
アルベルトはどこか嬉しそうに地下の階段を駆け上がっていくとリーリエもスキを見て階段を駆け上がる。そして、一目散にダンゼルの執務室へと駆け抜けると金庫の扉を開けようとした。
「えっと…、えっと」
しかし、案の定金庫にはロックがかかっており番号がわからない。
「どうしよう…、えっと」
金庫の前でオロオロするリーリエの耳元に再びあの声が響く。
(番号は307よ)
「…さん、ぜろ、なな」
何故そんな番号を知っているのか不明であるがリーリエは急いで金庫の扉を開けた。
そこには綺麗な長方形の小箱が一つポツンと置かれていた。
「これでいいのかしら…」
リーリエはそれを手に取る。すると、次の瞬間、
突然城内に警報が鳴り響いた。
「え?!、な、なに?」
突然の警報音にリーリエはその場に立ち尽くすと、廊下の辺りが騒がしくなる。
(ど、どうしましょう…)
その場に立ち尽くしたリーリエを他所に数人の兵士が執務室の前を駆けて行った。どうやら、金庫を開けた事による警報ではなかった様だ。
「…何かあったのかしら?」
リーリエはホッと安堵のため息を吐く。
「…とにかく地下に戻らないと」
そう思い、部屋から出ようとする。その時だったー。
「もう戻る必要はない」
最も聞きたく無い男の声がその場に響いた。
泣き疲れたリーリエは簡素なベッドに横たわっていた。特段寝るわけでもなく、ぼんやりと天井を見つめていると不意に誰かが耳元で囁いた。
(リーリエさん…、リーリエさん…)
長旅の疲労による幻聴とばかり思っていたリーリエは反応するでもなくその声に耳を傾ける。
(聞こえているならそのまま聞いて…、ヴェルランドは生きているわ)
「…生きてる」
(えぇ、彼は大丈夫。今から貴方を助けにくる…)
「私を…助けに?」
(だから、よく聞いて。彼が貴方を救うには【神官者の筆】が必要なの)
「神官者の筆…」
(その筆はダンゼルの執務室にある金庫の中にあるわ)
「金庫の中…」
(今から、その場所を貴方の頭の中に送るわ)
「頭の中に…」
(だから、そこから抜け出してその筆を見つけて)
リーリエはそこでようやく重たい身体を起こす。
「…貴方、誰なの?」
(私は彼を愛する者。貴方の味方よ)
「私の…味方…」
すると、リーリエの中にダンゼルの執務室への順路と金庫の場所が鮮明に映し出される。
「これは…」
(さぁ、考えている時間はないわ。早くそこを抜け出してダンゼルの執務室に行くの)
「でも、牢には鍵が…」
(それなら、貴方の味方がもう一人いるじゃない)
「私の…味方」
その時、ふとアルベルトの顔が思い浮かぶ。
(素直に鍵を開けてくれるとは限らないけど、きっと何か方法があるはずよ)
「何か方法…」
正直、アルベルトとは必要最低限の会話しかした事がない。彼の趣味も、彼の好みもよくわからない。
「何か、何か無いかしら…」
「何が無いんだ?」
突然、声をかけられたことにリーリエは分かりやすく驚く。
「驚かせてすまない。晩飯の時間だ」
アルベルトはそう言うと、盆にのせられた食事を小さな小窓から差し出した。
「食欲がないならー」
「あの!」
「…なんだ」
「えっと…、その…、よかったら一緒に食べませんか?」
「一緒に?」
唐突なお願いにアルベルトは少し不審がる。
「え、えぇ…、どうせ明日にはダンゼルの妻になってしまいますし、それに独身最後の晩餐がこんな牢の中というのも少し嫌だなぁと…」
リーリエは苦し紛れにいい訳を並べる。
「それに、私貴方のこともよく知りませんし…せっかくなら、この機会に…」
リーリエの言葉にアルベルトはどこか納得した様に微笑むと、意図も簡単にその牢の扉を開けた。
「悪く無い提案だ…。よし、ここに机を持ってこよう。少し待っていろ」
アルベルトはどこか嬉しそうに地下の階段を駆け上がっていくとリーリエもスキを見て階段を駆け上がる。そして、一目散にダンゼルの執務室へと駆け抜けると金庫の扉を開けようとした。
「えっと…、えっと」
しかし、案の定金庫にはロックがかかっており番号がわからない。
「どうしよう…、えっと」
金庫の前でオロオロするリーリエの耳元に再びあの声が響く。
(番号は307よ)
「…さん、ぜろ、なな」
何故そんな番号を知っているのか不明であるがリーリエは急いで金庫の扉を開けた。
そこには綺麗な長方形の小箱が一つポツンと置かれていた。
「これでいいのかしら…」
リーリエはそれを手に取る。すると、次の瞬間、
突然城内に警報が鳴り響いた。
「え?!、な、なに?」
突然の警報音にリーリエはその場に立ち尽くすと、廊下の辺りが騒がしくなる。
(ど、どうしましょう…)
その場に立ち尽くしたリーリエを他所に数人の兵士が執務室の前を駆けて行った。どうやら、金庫を開けた事による警報ではなかった様だ。
「…何かあったのかしら?」
リーリエはホッと安堵のため息を吐く。
「…とにかく地下に戻らないと」
そう思い、部屋から出ようとする。その時だったー。
「もう戻る必要はない」
最も聞きたく無い男の声がその場に響いた。


