こっちを向いて、ヴェルランド。


「見て下さい!あれは何かしら?」

夜の街に大はしゃぎするリーリエに、ヴェルランドは溜息を吐く。

「遊びに来たんじゃ無いんだぞ…」

「えぇ、わかってます!でも夜外出するのは初めてで!」

よくそんなんで、暗い夜道を逃げ出してきたものだとヴェルランドは眉を顰める。

「まずは食料だ。手軽なものにしておけ。色々とすぐに動け無くなるのはまずいからな、それにー」

「せっかくならあそこで食べたいわ!」

「お、おい…!」

一人走り出してしまったリーリエにヴェルランドは慌てて後を追う。

リーリエが駆けた先には、一つの洒落たBarがあった。

「私Barって初めて!さ、入りましょ?」

瞳を煌めかせながら、店に入ろうとするリーリエの腕をヴェルランドは慌てて掴む。

「何を考えてる!、観光に来ているわけでは無いんだぞ!」

ヴェルランドの忠告にリーリエはムッと顔を顰める。

「いいではないですか、せっかく外の街に来たのです。それにあんな汚い屋根裏部屋で食事なんて嫌です!」

流石はお姫様と言うべきか、ヴェルランドはリーリエの言い分にわかりやすく顔を顰める。

「お前は自分の立場というものをわかっていない様だな、こんなところで食事をしているところを見つかっては、また直ぐに追っ手がくる」

「その為の貴方でしょ?、それにどうせ最後の旅です。少しだけならいいではありませんか…」

リーリエの言葉にヴェルランドは黙り込む。

「少しだけ、ね?貴方も少しはお酒とか飲みたいでしょ?」

「任務中に酒は飲まない主義だ」

「もう!いいではないですか!本当に少しだけ!雰囲気を味わったら帰りますから!」

リーリエは必死にお願いをするとヴェルランドの腕を掴む。中々に強情な性格だ。

「…はぁ、では少しだけだぞ。酒を一杯飲んだら終わりだ」

ヴェルランドの言葉にリーリエはわかりやすく顔を煌めかせると、二人は洒落た店内へと足を踏み入れた。