Nocturne of Light~ノクターン オブ ライト~

その問いに、リリィは少し目を瞬かせた。
夜風が、ふわりと髪を揺らす。
「それ、は···」

答えようとして、言葉が詰まる。
確かに、逃げようと思えば
逃げられるのかもしれない。

レオンは、 閉じ込めようとしてこなかった。
部屋へ監禁するわけでもなく。
自由に屋敷を歩かせて。

書庫も、庭も、好きにしていいと言った。
地下を見てしまったあとですら

“閉じ込める”
ことはしなかった。
リリィは胸元をぎゅっと握る。



「··正直、怖いです。今日だって、すごく怖かった」

地下室で響いた銃声。
冷たいレオンの目。
思い出すだけで、 胸の奥が苦しくなる。


レオンは何も言わない。
ただ静かに、リリィの言葉を聞いていた。



「でも···」

リリィは少し俯いたあと、ゆっくり顔を上げる。

「逃げたいって、あんまり思わなかったんです」

静かな夜風が吹く。