いじわる主治医は、私にだけ甘い

彩人と帰り道、ゆっくりと歩いて帰った。
夏だから日が長くて、まだまだ明るい。
彩人は影までイケメンだななんて思いながら見ていた。

「そう言えば、話したいことって何?」

「ん? あぁ、これからのことだ。俺は冴が少食で病気がちなのももう知ってる。子宮筋腫以外にも、喘息や偏頭痛とか体調を崩しがちだろ?」

「ま、まぁ。でもなんとか仕事も出来てるし。手術も終わったしあとは開放感みたいな」

「そうじゃなくて、今だからこそ自分の身体と向き合って欲しいんだよ」

「体質改善みたいなこと?」

「それもあるけど、辛いときに一人にならないって約束できるようにすること」

そんなの、今更無理だよ。
ずっとひとりで我慢してきた。
最近は彩人たちに支えてもらうことも増えたけど、大人なんだから何もかも頼るわけにいかない。

「もう大人だし、大丈夫だよ。自分のことは自分でやれるよ」

「そうして我慢して、子宮筋腫でオペするまで気づけなかった。そういうのはもう嫌なんだ。俺の知らないところで傷つかないで欲しい」

「依存しちゃうから……」

「依存していいんだよ。頼っていいんだ。そのために俺はいるんだから」

「甘えていいの?」

「うん。だからさ、俺たち一緒に住まないか?」

「え!? でも今の家は」

「引き払って家に来いよ」

「慶人さんだって」

「あいつは大歓迎だろ」

「でも……」

「自己管理、ほんとに一人で出来るのか? 俺がそばでずっとみてたい、好きだからこそ心配なんだ」

甘い言葉で、私の行き先をなくす。
もう、彩人先生のことしか考えられなくなる。
他の先生じゃ嫌なんだ。

「彩人、よろしくお願いします」

「やった!」

よしっと私を抱きしめてくれる彩人は大きくて、彩人の匂いがして落ち着いた。
でも待って、つまり彩人と慶人さんと同棲するってことだよね!?

ほんとにどうなっちゃうのー!
夕日に向かって叫びそうになった。