いじわる主治医は、私にだけ甘い

彩人はゆっくりしろという言葉を体現するように本当にお姫様抱っこでベッドに連れてかれて、髪を撫でられて寝かせられた。

「ほら、本調子じゃないんだから無理するな」

「ねぇ、ほんとに手術しなきゃダメ?」

「ダメ」

「やだって言ったら」

「逃がさない。その代わり絶対に俺がそばにいて守る」

「怖いのは嫌だけど……考えとく……スー……」

「本当にしょうがないやつだな」

布団を更にかけてくれる彩人。
優しい温もりを全身に感じた。


「ん……おはよってまだ夜?」

「ほら、そろそろ起きると思って。ルームディナーで注文しといた」

「なんか本当に夫婦みたいだね……ふふっ」

「オハナだよ。ちゃんと家族のように大事に思ってる」

「ありがとう……私こんなに優しくされたの初めてで。でも必ずいつか彩人に見合う人間になりたい」

「じゃあ大人しく手術うけてくれ」

「いやそれはまだ心の準備できないかな」

こらぁーっとベッドで身体の上に乗られる。
彩人の髪の匂いがする。

「わがまま子猫ちゃん」

「すみませんにゃあ」

「堪んない」

ぎゅうっと抱きしめられて動けなくされた。

「ほ、ほらご飯冷めちゃうよ、彩人」

「わかった」

いつまでも二人きり、こうしていたいと思った。
初めて誰かを貪るように好きだと感じた。