いじわる主治医は、私にだけ甘い

私たちはワイキキビーチ沿いの白いホテルにチェックインした。
いかにも富裕層が泊まりそうなホテルだ。

「ねぇ、こんなにゆっくりしちゃっていいのかな?」

「親父達が全部金出してくれるから気にするな」

「お義父さんたちにちゃんと挨拶しなきゃな」

「そう気負うな。ハワイまで来たんだ。気持ちを解くのも大事だ」

彩人はベランダに出て、私を呼んだ。

「ほら見てみろ。サンセットだ」

「わぁあ〜綺麗。それに波の音が胸の奥まで響いてる」

「ねぇ、オハナって知ってる?」

「お花?」

「言うと思った。違うよ。ハワイでは家族とか大切な人って意味の言葉。もう冴はうちのオハナだから。悲しい時は頼っていいし、つらい時は泣いてもいいんだ」

余りにも彩人が優しくて、甘い言葉をかけてくれるから涙が出た。
ずっとひとりでなんでも出来るって信じてきたし、実際ひとりで生きてきたつもりでいた。

でも……本当はいつか誰かにこういって欲しかったんだ。
寂しくないよ、一緒にいようと。

「ヒック……Thank you」

「そこは英語なのかよ! You’re welcome, kitten.」

「え、キッチン? 彩人、まだお腹すいてるの?」

「ここまで来るとアホ可愛いな」

「彩人も私のオハナだね」

「あぁ」

抱き寄せられて、髪の隙間から手を入れ頭を動かないようにされた。

「目、つむれ」

「ん……」

二人で甘いサンセットを背中にして愛を確かめあった。