転生者公爵令嬢は王太子相手に商売で無双する。王太子妃なんかお断りイケメン執事の方が好みです

帰りの馬車の中で二人はぐったりとしていた。

「案外殿下は慎重でしたね。でも婚約の話は断る事が出来て良かったです。事業提携は別にできなくても問題ないからとにかく今日の課題は果たしましたね」

「ええ、最初はあんなに食い下がられるとは思わなかったわ。でも言った通りでしょう?殿下は私自身に興味があるわけではないのよ。メロウ商会や公爵家の利権が欲しいだけよ。事業の話をしたら婚約の事なんか忘れてたわよね、うふふ」

本当にヘタレな殿下だわ。まあ国を背負っているわけだから仕方ないのかも、何事も慎重に考えてもらわないと国民としてはその方が安心できるのは確かだ。

「そうですね、そのくせ新しく始める事には尻込みするってどうなのでしょう。こっちが苦労して作った物を横から搔っ攫っていくつもりだったなんて、ちょっとずるすぎますよ。お嬢様の苦労も知らないで」

「ちょっとじゃなくてすっごくずるすぎる。それとね、トス。もうお嬢様なんて呼ばないで、ジュリエッタと呼び捨てでね。敬語もなしよ。トスがメロウ公爵になるのですからね。今から自覚をもって欲しいもの。それに次の我が家の執事も今補佐をしていてくれる従僕に引き継がせないとね」

2人はすっかり王太子殿下の悪口で盛り上がり留飲を下げたのだった。

それから2週間後二人ともジュリエッタの卒業後の結婚式の準備やトスの実家のボン家への挨拶などで、ばたばたとしていた。

それにトスの公爵承継の手続きもあった。

公爵継承の前にまずジュリエッタとトスは婚姻届けを提出しなければならない。

婚姻手続きを終えて領地の叔父を訪ねて手続きの為の膨大な書類にサインを貰ったのだ。

叔父は母の言う通りほっとしていて、ニコニコだった。

せっかく領地迄来たのだからと、ジュリエッタとトスは領地を回って米作農家やトマト農家共同体にメレンジス果樹園の共同体
、畜産農家の共同体、小麦農家の共同体等すべての共同体を訪れてその成果を確認した。

今は農家を営む者はほとんどどれかの共同体に所属するようになった。

一つの物の栽培に特化した共同体だけでなく色々な作物を作る農家も農業共同体としてまとまっている。

その共同体で働く者も必要になり雇用が増えた。いまや働き口のない領民は誰もいない。

そして各共同体でメロウ家に卸す分、他国に輸出する分、国内で販売する物、領地に残すもの等共同体の本部が取り仕切ってくれるので、農家は栽培に専念できる。

そんな形態をジュリエッタとトスは作り上げていたのだ。

近頃では近隣の領地の貴族家からも共同体に関しての視察の申し込みも多く、マイケル叔父と家令のジキリスはその対応にも追われていた。