転生者公爵令嬢は王太子相手に商売で無双する。王太子妃なんかお断りイケメン執事の方が好みです

「最初に王都のメロウ家に近い所に駅を作ってメロウの領地まで真直ぐに走らせます。そしてそこから近くの港につなげるつもりなのです。そうすることでメロウの領地から特産品も農産物も牛乳やチーズも1日もかからず王都迄持ってこられますわ。そして外国に輸出もするのに港までも速く沢山持っていけるのですわ。汽車が走るのを見れば皆わが領地を走らせたくなりますわね。ほほほ」

「それはそうだろうな」

「まずはメロウ迄の汽車が通る領地の貴族家に出資の話を持っていきます。でもその時になって王家の入る隙はありませんわよ。他の出資者と同じですわね。事業主としての利権や利ざやは出資者にはありませんもの。それが特許を持てるか持たないかの違いですわ。アデーレ王国の王家はあんな大きな船を作り出したのです。何もないところから素晴らしいですわ。それがあるから汽車が作れるのですもの…」

「まて、もう少しきちんとした提案書を出してくれないか?大体どれくらいの金額がその事業に必要なのかとか蒸気機関車の詳細な設計図とかを見せて欲しい」

「詳細な設計図を今の時点でお見せする訳にはいきません。その辺も技術者と相談しなくてはならないのですから、今から始めるのです。何もない所から作るのですよ。殿下にもその覚悟をしていただいて共同でやっていくのです。実際にあんな大きな船が蒸気で動いているのですから蒸気機関車が走らないはずはないのです。実際に動く船を見たから高額の利権を払って作ることにされたのですよね。シュバイツァー王国も…そう言う事ですわ。実際に他の人がやった事をやりたいなら利権を買うしかないのです。私は買うより売る方になりますわ」

「ジュリエッタと話していると自分がとんでもなく小さな男に思えるよ。だが僕が失敗する訳にはいかないのだ」

「でも成功すれば5年後殿下が国王として立たれる時の素晴らしい手柄になるじゃないですか、それも作って終わりじゃないのですよ。その利権はそろばんや水車小屋の比ではありません。これから先王家は安泰ですよ。我がメロウ家もですが…」

「そうだな、蒸気船を発明したアラード共和国はその利権だけで大きな富を築いたと言われている。国も民の暮らしもよくなったそうだ」

「そうでしょうね。蒸気機関車が国中を走る事でたくさんの雇用を生み出しますわ。それこそ新しい職業も誕生しますわ。汽車の運転手やレールの補修や管理をするものに駅長さんと数え上げたらきりがないですわ。きっと民の暮らしも飛躍的に向上するでしょうね」

「無理強いされているつもりはないけれど、まだ夢の話をしているようだ」

「私達も殿下にこの話をするつもりはなかったのです。でも婚約のお話をただお断りするのは王家に対して失礼だと思ったものですからご提案したのですわ。ですからご心配なら共同事業の件はなかった事にいたしましょう」

「とにかく今日突然の申し出なので今日お返事を頂けるとは思っておりません。この絵は殿下に差し上げますのでゆっくり考えて下さい。ご決心がつきましたらまたご連絡ください。止めるでもやるでもどちらでも構いませんので…」

トスが話し合いをそう言って締めくくった。

そうしてジュリエッタとトスは王太子殿下の御前を辞した。