転生者公爵令嬢は王太子相手に商売で無双する。王太子妃なんかお断りイケメン執事の方が好みです

彼の名はトーマスセントレアーナ・ボンというボン伯爵家の3男だ。

家名が貧弱だったので、子供たちはやたら長い名前を付けてもらっている。

そしてすこぶるイケメンなのだ。背も高く騎士科を卒業しているので、未だに早朝鍛錬を絶やさず体も引き締まっている。

贅肉なんてどこにもついてない。羨ましい限りだ。

しなやかな黒髪をサイドに流して耳が隠れるくらいの長さで後ろは襟足のところまで伸ばしている。

瞳は薄いブルーだが、二重の大きな目は印象的だ。鼻もすっと通っていて唇も口角が上がり笑うと優しい王子様のような風貌になる。

顔よし、頭よし、体よしその上性格も穏やかで優しい何拍子もそろったお買い得の執事なのだ。売らないけど

あまりに長い名前なので私達家族はトスと呼んでいる。

ちょっと短くしすぎの感は否めないが呼びやすいのが一番なのだから、トスでごめん。

そしてトスと二人亡き父親の執務室で我が家の家計を紐解いていく。

会計上の事は公爵と月に一度来てくれる会計士がやっていたようでトスも詳しくは知らなかったようだ。

やはり思った通り、家計はじり貧状態になっていた。会計士は何をしとったんだ!と思わなくもないがあの父親だあまり深く考えてはいなかったのだろう。

父親の給金で何とか家の家計は回っていたのだから…母もあまりドレスだ宝石だと散財するタイプではない。

メロウの領地はこの王都からは北に馬車で2日くらい行った丘陵地で農業と広い領地を生かして畜産業も盛んなのだ。

領地の方は叔父様と領主館に居る家令に任せてあったようだ。

まず農作物がこの何年か毎年収穫量が落ち続けているのにトスが気付いた。

畜産業の方はまあまあ横ばいでそれで領地経営は何とかなっているようだ。でも、そんなに利益が上がっていない。

よく見ると領民に掛ける税率が20年間上がっていない。

議会によって決まっている領地の税率は8%~15%で、メロウの領地の税率は5%なのだ。

最低の税率のまだ下をいっている。

うちのパパって優しすぎる。というより多分そんな事も知らなかったのではないかと思う。

一応国の大臣なのに…他国との関税の交渉とかやってる前に自分の領地の税率を何とかしろって、今更言っても後の祭りだけど、とほほ

これでは今度監査が入った時に絶対指摘される。

税金を少なく収めているという事になり、領地からの収入の差額3%に対して追加の税金を払わされる。

それも税率の改訂が行われた5年前からさかのぼっての追加徴収だ。

ジュリエッタはトスと顔を見合わせて青ざめた。