*
*
*
会議が終わって、自分のデスクでようやく一息つく。
資料を片づける手も少しだけ力が抜けていて、椅子に深く座り直した瞬間、張りつめていた緊張が一気にほどけていくのがわかった。ボロボロのまま出社したけど、特に誰かに何か言われるわけでもなくて、ホッとする。
今日の会議は、明日行われる新規取引先のプレゼンに向けた最終確認だった。相手は大手企業で、今回の案件は社内でもかなり期待されている大型プロジェクト。
広告・制作系営業部にとっては、ここを取れるかどうかで今後の評価が大きく変わるレベルの案件だ。だからこそ朝からの空気もピリピリしていて、先輩たちの視線もいつもより少しだけ鋭かった気がする。
それでも、なんとか致命的なミスはなく終えられた。
資料の修正点も想定内だったし、進行も大きく崩れなかった。胸の奥にずっと張りついていた不安が、ようやく形を失っていく感じがする。
明石弥生、26歳。
LUCENT広告株式会社の広告・制作系営業部に所属して早4年。最初は右も左もわからず、ただ必死に先輩の背中を追いかけていたのに、気づけばいくつものプロジェクトを任されるようになっていた。
最近は仕事量も増えて忙しさはあるけれど、それでも、充実していると思えるくらいには、この会社にも仕事にも馴染んできていた。



