恥ずかしい。変に思われたかもしれない。
そう思いながら恐る恐る顔を上げる。すると有馬さんは、困ったみたいに少し眉を下げて、ほんのわずかに表情を緩めた。
「すいません。足、痛くないですか?」
予想していた反応と全然違って、一瞬言葉が出なくなる。怒られるでもなく、呆れられるでもなく、返ってきたのは心配する声だった。
「だ、大丈夫です……!」
反射的にそう答えたけれど、本当は全然大丈夫じゃない。昨日できた靴擦れがずっと痛くて、さっき走ったせいで余計にひりひりしている。でもそんなこと、言えるわけない。有馬さんの前で情けない顔なんてしたくなかった。
私は誤魔化すように小さく笑ってから、慌ててAirpodsを差し出した。
「AirPods、お返しします」
そう言って差し出すと、有馬さんは「あ、ありがとうございます」と受け取ろうとして――その直前、少しだけ気まずそうに視線を逸らした。そして困ったみたいに一瞬だけ天井のほうを見上げる。
「すみません……俺、気づかなくて。今持ってきてないんです」
有馬さんは、申し訳なさそうに少しだけ肩を落としながら、私の顔色を窺うみたいに視線を向けてくる。その表情があまりにも申し訳なさそうで、なのにどこか柔らかくて、胸が不意に大きく跳ねた。



