「僕は公爵家の後継ぎである。つまり偉いのだ!高貴なのだ!よって皆は従って当然なのだ!」
これが私の婚約者である、ミケル様の良く仰ることである。
……これは貴族としては一理ある面がある。
貴族がイキりちらして威張れる理由とは官位であり、その官位がもっとも高い公爵家を侮辱するのは、自分達よりも身分が低い貴族や平民に威張れる根拠も否定することになるからである。
私、ナンシーも侯爵家の女である以上、この論理には逆らえない……
と言いたいがあまりにも限度がある!
1つは別にたかが公爵家であると言うことだ。
侯爵家ごときが、格上の公爵家に向かってごときとか生意気では無いか?
確かに面と向かっては中々言えたものではないですが、こんなの単純である。
我々貴族にとっての太陽は、王家なのだから!
王家からしたら我々は下っ端も同然!
よって王家の前では公爵家も侯爵家もごときになるのである。
さらにだ我々の官位も、王家によって授けられている形なので、王家は単に相対的に偉いのではなく、太陽と言ったように貴族の根拠なのである。
つまり存在が違う。
そういう絶対的格上がありながら、あんなにもイキり散らしていい道理なんか無いのに、ミケル様は分かっていない!
と言いたいが、ミケル様の中では、あのイキりはどう整合性が付いているのか知らないが、王子様達の前では、卑屈なレベルにへつらうので、王家に横暴はあまり問題視されていないのだ。
しかしだ、王家以外相手には違う!
社交界でも取り巻きの貴族達を連れて、我がもの顔なのである!
少し故意でないのに貴族がぶつかるだけで、
「お前!この僕を誰だと思っているのか!」などと散々脅して、
皆の前で屈辱的な謝罪をさせ、相手の家の抗議すら、無理やり公爵家の力で押さえつけている……
さらにだ、婚約者としても腹立たしいのだが、婚約者がいるキレイな令嬢を見ると、
「僕の妾になれ、そのほうがいいだろう!」などと言い放ち、多くのトラブルを起こしてきた!
流石にこの件が通ったことはなく、公爵家と言えど、ごり押しはできないようだが、でも問題発言の帳消しまでは図れてしまうようなのである。
すると王家は何をしているのか?というと、陛下達ともあろうものは、貴族ごときの個人の争いに干渉したりしない。
もっと国にとって大問題になることでないと動いたりしないのだ!
よってミケル様がやりたい放題になっているのである!
もちろん私も婚約者として、
「……もう少し自重なさったらいかがでしょうか?」
と注意はしたことがあるが、
「僕は公爵家だぞ!お前はいくら婚約したといっても侯爵家では無いか!とはいえ寛大な僕は許してやる!お前も見ていろ、夫になる僕が偉くなることは、妻にとっても鼻が高いであろう、わっはっはっはっは!」
とほざいて、聞き入れることは無い。
これ以上言っても問題にしかならず、そもそも理解する頭も無いでしょうから、
私はときおりミケルによって困らされた人に、仕方ないから出来る限りの謝罪やフォローをするのが限界なのである。
……だがもうウンザリである!
当然理由はいくつもある。
1、当たり前だが浮気し放題なタイプの夫を喜ぶ女はいない(ごく一部の例外なケースは知りませんが)
2、幸いそこまで私にはまだ圧力をかけてきていないが、これも将来どうなるか分からない。結婚後はきっと酷い目に合うと予想できる未来しか見えない
3、そして致命的なのが、こんなことが長く続くとは思えない。明らかに多くの貴族の恨みを買っており、私は将来性が全くないと思っているのである
これらから婚約などしたくないのだが、中々破棄が難しい!
1、私達の家は格下である
2、さらにミケルは浮気三昧なくせに、私を手放そうとしていない
3、そして馬鹿な両親も将来性を考慮せずに、公爵家と婚約できたということだけで、この婚約を喜んでいる
……一体どうしたら?
私はこのようにがんじがらめなのである!
会いたくもないのだが、今日もミケル様とのお茶会である。
今日も遅刻してきたのだが、ドヤ顔で元気よくしゃべり出した。
「ナンシーよ、僕はやはり偉いのだ、昨日は馬鹿女共からカッコいい何て言われている馬鹿な伯爵家のボケに思いっきり謝罪させてやった!」
などと自慢している。
私はまたかとウンザリしていたが……
どうやらそれが奴の気に障ったらしい!
「おい、何故ちゃんと話を聞かぬのか!まさか伯爵家のボケとお前は浮気をしていたのか!?」
などと意味不明なことを言って来た。何言ってるんだこいつは……
私が呆れていると……
「黙るってことはそういうことだろう!」
などと検討違いなことを言いだすでは無いか……
私は呆れつつも、
「……私があんな軽薄な男と浮気するわけ無いでしょう……!」
とはっきり言ってやった、確かにお前は嫌だが、伯爵家のカッコつけだけの男なんて好みでも何でも無いわ!
そう言ったら、こいつは何を解釈したのか……
「つまり他の男と浮気しているのだな!?」
何だこいつ……今日はいつになく絡むじゃないか!
「浮気なんて一度もしたことありません!」
私はハッキリ言うと……
こいつなんだかんだヘタレだから(王家に対してそうであるように……)
「……ふん、浮気をしてないのなら許してやる!寛大な僕に感謝しろ!」
などとドヤ顔で言ってくる……
……こいつは多分私が好きとかは無いと思う。
ただし婚約者と上手くいかなかったという貴族の評判が落ちることを恐れている……
だが私は思った、というか今繋がった!
「1つよろしいですか?」
「何だ!言ってみろ!婚約者の発言を聞く寛容な貴族である僕で助かったな!本当はこんなこと許さないんだぞ!」
いつの時代の人間だ!どこの世界に、一言も話してはいけない婚約者なんて、奴隷制度があったんだ、この国の歴史にそんなものは無い!
どこまで勘違いをしてるんだか……!
「ミケル様は偉いんですよね?」
「その通り、この僕は超偉いのだ、そんな夫を持てるお前は幸せものだぞ!」
はぁ……まぁいいや言質は取った!
「では仮に偉いのでしたら、貴族内の評判なんかどうでもいいですよね?」
「……そうだな!この僕は強いのだからどうでもいいに決まっている!」
「……ならばミケル様ともあろうものならば、どんな悪評もへっちゃらですよね!」
「その通り!この僕の悪口を言う奴なんて全部粉砕してやるわ!」
「流石ミケル様です!では仮に婚約が上手くいかなくなってもその悪評には全部勝てますよね?」
「え?お前まさか浮気をしたのか!」
「……していませんって!調査すれば分かりますよ、それにありえませんが、私が浮気を仮にしていて婚約破棄になっても、最強のミケル様が悪口なんて恐れること無いですよね?」
「その通りだ!僕は無敵だからな!」
「……分かりました、では無敵でノーダメなら、ミケル様から婚約破棄を私にして下さい、私は無敵じゃないのでダメージを受けるので、私からは言えません、慰謝料の要求については、私が全力を持って両親を止めるので!」
……さぁどう来るのだろう?そう思っていると……
「……な……何を言い出すんだ!浮気をしたのか?許さないぞ!」
などと怒り出すので、
「……散々言ったでは無いですか!浮気はしていないと!」
「じゃあ何故婚約破棄とか言い出すのだ!」
……これである、こいつ何故婚約破棄をされないと思っているのか不思議でならない。
「……色々ありますけど、まず浮気三昧な方と婚約したいなんて思う令嬢っていると思います?」
「それがどうした!モテる夫を持って嬉しいだろう?」
……こいつどれだけ馬鹿なんだろうと思う……!
「では……一切の口答えも許さないようなタイプの男と、幸せな生活になると思える令嬢がいると思います?」
「え?僕はそんなに酷い奴では無いぞ!」
……無自覚でこれである、こいつ本気でこう思っているのだ。
冗談にもなっていない……
「……そうですかね?たかが侯爵家呼ばわりを何度もされているのですが!」
「当然だ!僕は公爵家だぞ!」
「だからそうやっていちいち言われるのが嫌なんですけど!」
「仕方ないだろう!僕は公爵令息なのだからな!」
「……もっともですね!でも私には辛いので、ノーダメならばどうぞ婚約破棄をして下さい、それとも私をいじめたいのですか?」
このように言ってやると……
「駄目だ!」
と来たものだ……
何で駄目なのか理解できない……
「なぜですか?」
「何故かと言われたら駄目だから駄目だ!」
……答えになっていない……こいつは本当に頭が悪いと知ってはいたがより確信した!
「いやそれでは理由になっていないのですが……」
「駄目だと言ったら駄目なんだ!」
「でも浮気三昧だし、私を愛しているわけでは無いんですよね?」
「……だからそれはモテる夫のほうがいいだろう!」
「……私にそういう趣味は無いので!」
「な……お前のためにモテようと思っていたのだぞ!」
……100%バレバレの嘘をつけるその厚かましさにだけは驚きますが……
「じゃあ私は嫌なのでやめて下さい!」
「……分かったよ仕方ないな!」
きっと分かってないだろうが、表面的にも折れたことに私は驚いたので、追加で言ってやる!
「あとはそこらで威張り散らしてトラブルを起こすような夫は嫌なのです!」
「うるさいな、分かったよやめればいいんだろう!」
……マジ?絶対こんなの口先だけだと思うが、どこまで通じるか試してみよう……!
「ではこの紙にサインをして下さいよ、内容は、僕は浮気をしないし、身分を理由に威張ったりすることをこれからやめることを誓いますと」
「書けばいいんだろ!」
こうしてマジでスラスラと書いたでは無いか!
「ではもう1つお願いをします、私と婚約破棄をして下さい!」
「何だと!許さないぞ!」
「待った!公爵家であることを威張るのは禁止しましたよね?」
「な……!」
しかし私が紙を見せてやったので半泣きになりながら言う……
「おのれ無礼者め!公爵家の力を見せてやるわ!」
こう言いながら帰ったけど、
こっちにはこの紙がある、筆跡でもミケル様が書いた以上、もちろん法的な効果など無いが、面目で敗北するのはミケル様だ。
きっと公爵家も文句を言ってこないはず……
こう思っていたらミケル様は追放されたらしい。
何故か?公爵様が他の貴族に語った所、
「他家に言いくるめられるような馬鹿息子などいらん!」
とのことらしい、当然婚約は解消された。
……なるほど他家に威張って横暴な息子は許しても、負けるボケは許さないって家でしたか……
こうして、何かトンチみたいに問題が解決して良しと思ったら、
2つ問題ができた!
1つは些細なことだ、
ミケル様改めミケルが、
「僕を助けてくれよ」などと情けなくすがって来るが、当然無視して追い返す。
だがその様子とあの横暴極まりなかったミケル追放に貢献してしまったことで、
何か私がコワモテ令嬢扱いされるようになってしまった!
こ……これでは新しい方が見つかりませんわ!
こうして焦るのであった……
ミケル……貴方はメンタルが下っ端だったのよ……
だって身分が高いものってのは、別にそれだけで下がへつらうのだから、わざわざ威張らなくていいのよ。
それを持て余してたからこそ、威張って何とかしようとしてたのでしょう?
だからこそ貴族の評判を実は気にしていて(本当にミケルが言うレベルで偉いのならば気にしなくて良かったですよね?)婚約破棄が嫌なあまり、自爆するようなことになったのよ……!
気にする程度なのに、無敵な振りをしないといけないのが、まさにメンタルが下っ端の証拠だったのよ!
これが私の婚約者である、ミケル様の良く仰ることである。
……これは貴族としては一理ある面がある。
貴族がイキりちらして威張れる理由とは官位であり、その官位がもっとも高い公爵家を侮辱するのは、自分達よりも身分が低い貴族や平民に威張れる根拠も否定することになるからである。
私、ナンシーも侯爵家の女である以上、この論理には逆らえない……
と言いたいがあまりにも限度がある!
1つは別にたかが公爵家であると言うことだ。
侯爵家ごときが、格上の公爵家に向かってごときとか生意気では無いか?
確かに面と向かっては中々言えたものではないですが、こんなの単純である。
我々貴族にとっての太陽は、王家なのだから!
王家からしたら我々は下っ端も同然!
よって王家の前では公爵家も侯爵家もごときになるのである。
さらにだ我々の官位も、王家によって授けられている形なので、王家は単に相対的に偉いのではなく、太陽と言ったように貴族の根拠なのである。
つまり存在が違う。
そういう絶対的格上がありながら、あんなにもイキり散らしていい道理なんか無いのに、ミケル様は分かっていない!
と言いたいが、ミケル様の中では、あのイキりはどう整合性が付いているのか知らないが、王子様達の前では、卑屈なレベルにへつらうので、王家に横暴はあまり問題視されていないのだ。
しかしだ、王家以外相手には違う!
社交界でも取り巻きの貴族達を連れて、我がもの顔なのである!
少し故意でないのに貴族がぶつかるだけで、
「お前!この僕を誰だと思っているのか!」などと散々脅して、
皆の前で屈辱的な謝罪をさせ、相手の家の抗議すら、無理やり公爵家の力で押さえつけている……
さらにだ、婚約者としても腹立たしいのだが、婚約者がいるキレイな令嬢を見ると、
「僕の妾になれ、そのほうがいいだろう!」などと言い放ち、多くのトラブルを起こしてきた!
流石にこの件が通ったことはなく、公爵家と言えど、ごり押しはできないようだが、でも問題発言の帳消しまでは図れてしまうようなのである。
すると王家は何をしているのか?というと、陛下達ともあろうものは、貴族ごときの個人の争いに干渉したりしない。
もっと国にとって大問題になることでないと動いたりしないのだ!
よってミケル様がやりたい放題になっているのである!
もちろん私も婚約者として、
「……もう少し自重なさったらいかがでしょうか?」
と注意はしたことがあるが、
「僕は公爵家だぞ!お前はいくら婚約したといっても侯爵家では無いか!とはいえ寛大な僕は許してやる!お前も見ていろ、夫になる僕が偉くなることは、妻にとっても鼻が高いであろう、わっはっはっはっは!」
とほざいて、聞き入れることは無い。
これ以上言っても問題にしかならず、そもそも理解する頭も無いでしょうから、
私はときおりミケルによって困らされた人に、仕方ないから出来る限りの謝罪やフォローをするのが限界なのである。
……だがもうウンザリである!
当然理由はいくつもある。
1、当たり前だが浮気し放題なタイプの夫を喜ぶ女はいない(ごく一部の例外なケースは知りませんが)
2、幸いそこまで私にはまだ圧力をかけてきていないが、これも将来どうなるか分からない。結婚後はきっと酷い目に合うと予想できる未来しか見えない
3、そして致命的なのが、こんなことが長く続くとは思えない。明らかに多くの貴族の恨みを買っており、私は将来性が全くないと思っているのである
これらから婚約などしたくないのだが、中々破棄が難しい!
1、私達の家は格下である
2、さらにミケルは浮気三昧なくせに、私を手放そうとしていない
3、そして馬鹿な両親も将来性を考慮せずに、公爵家と婚約できたということだけで、この婚約を喜んでいる
……一体どうしたら?
私はこのようにがんじがらめなのである!
会いたくもないのだが、今日もミケル様とのお茶会である。
今日も遅刻してきたのだが、ドヤ顔で元気よくしゃべり出した。
「ナンシーよ、僕はやはり偉いのだ、昨日は馬鹿女共からカッコいい何て言われている馬鹿な伯爵家のボケに思いっきり謝罪させてやった!」
などと自慢している。
私はまたかとウンザリしていたが……
どうやらそれが奴の気に障ったらしい!
「おい、何故ちゃんと話を聞かぬのか!まさか伯爵家のボケとお前は浮気をしていたのか!?」
などと意味不明なことを言って来た。何言ってるんだこいつは……
私が呆れていると……
「黙るってことはそういうことだろう!」
などと検討違いなことを言いだすでは無いか……
私は呆れつつも、
「……私があんな軽薄な男と浮気するわけ無いでしょう……!」
とはっきり言ってやった、確かにお前は嫌だが、伯爵家のカッコつけだけの男なんて好みでも何でも無いわ!
そう言ったら、こいつは何を解釈したのか……
「つまり他の男と浮気しているのだな!?」
何だこいつ……今日はいつになく絡むじゃないか!
「浮気なんて一度もしたことありません!」
私はハッキリ言うと……
こいつなんだかんだヘタレだから(王家に対してそうであるように……)
「……ふん、浮気をしてないのなら許してやる!寛大な僕に感謝しろ!」
などとドヤ顔で言ってくる……
……こいつは多分私が好きとかは無いと思う。
ただし婚約者と上手くいかなかったという貴族の評判が落ちることを恐れている……
だが私は思った、というか今繋がった!
「1つよろしいですか?」
「何だ!言ってみろ!婚約者の発言を聞く寛容な貴族である僕で助かったな!本当はこんなこと許さないんだぞ!」
いつの時代の人間だ!どこの世界に、一言も話してはいけない婚約者なんて、奴隷制度があったんだ、この国の歴史にそんなものは無い!
どこまで勘違いをしてるんだか……!
「ミケル様は偉いんですよね?」
「その通り、この僕は超偉いのだ、そんな夫を持てるお前は幸せものだぞ!」
はぁ……まぁいいや言質は取った!
「では仮に偉いのでしたら、貴族内の評判なんかどうでもいいですよね?」
「……そうだな!この僕は強いのだからどうでもいいに決まっている!」
「……ならばミケル様ともあろうものならば、どんな悪評もへっちゃらですよね!」
「その通り!この僕の悪口を言う奴なんて全部粉砕してやるわ!」
「流石ミケル様です!では仮に婚約が上手くいかなくなってもその悪評には全部勝てますよね?」
「え?お前まさか浮気をしたのか!」
「……していませんって!調査すれば分かりますよ、それにありえませんが、私が浮気を仮にしていて婚約破棄になっても、最強のミケル様が悪口なんて恐れること無いですよね?」
「その通りだ!僕は無敵だからな!」
「……分かりました、では無敵でノーダメなら、ミケル様から婚約破棄を私にして下さい、私は無敵じゃないのでダメージを受けるので、私からは言えません、慰謝料の要求については、私が全力を持って両親を止めるので!」
……さぁどう来るのだろう?そう思っていると……
「……な……何を言い出すんだ!浮気をしたのか?許さないぞ!」
などと怒り出すので、
「……散々言ったでは無いですか!浮気はしていないと!」
「じゃあ何故婚約破棄とか言い出すのだ!」
……これである、こいつ何故婚約破棄をされないと思っているのか不思議でならない。
「……色々ありますけど、まず浮気三昧な方と婚約したいなんて思う令嬢っていると思います?」
「それがどうした!モテる夫を持って嬉しいだろう?」
……こいつどれだけ馬鹿なんだろうと思う……!
「では……一切の口答えも許さないようなタイプの男と、幸せな生活になると思える令嬢がいると思います?」
「え?僕はそんなに酷い奴では無いぞ!」
……無自覚でこれである、こいつ本気でこう思っているのだ。
冗談にもなっていない……
「……そうですかね?たかが侯爵家呼ばわりを何度もされているのですが!」
「当然だ!僕は公爵家だぞ!」
「だからそうやっていちいち言われるのが嫌なんですけど!」
「仕方ないだろう!僕は公爵令息なのだからな!」
「……もっともですね!でも私には辛いので、ノーダメならばどうぞ婚約破棄をして下さい、それとも私をいじめたいのですか?」
このように言ってやると……
「駄目だ!」
と来たものだ……
何で駄目なのか理解できない……
「なぜですか?」
「何故かと言われたら駄目だから駄目だ!」
……答えになっていない……こいつは本当に頭が悪いと知ってはいたがより確信した!
「いやそれでは理由になっていないのですが……」
「駄目だと言ったら駄目なんだ!」
「でも浮気三昧だし、私を愛しているわけでは無いんですよね?」
「……だからそれはモテる夫のほうがいいだろう!」
「……私にそういう趣味は無いので!」
「な……お前のためにモテようと思っていたのだぞ!」
……100%バレバレの嘘をつけるその厚かましさにだけは驚きますが……
「じゃあ私は嫌なのでやめて下さい!」
「……分かったよ仕方ないな!」
きっと分かってないだろうが、表面的にも折れたことに私は驚いたので、追加で言ってやる!
「あとはそこらで威張り散らしてトラブルを起こすような夫は嫌なのです!」
「うるさいな、分かったよやめればいいんだろう!」
……マジ?絶対こんなの口先だけだと思うが、どこまで通じるか試してみよう……!
「ではこの紙にサインをして下さいよ、内容は、僕は浮気をしないし、身分を理由に威張ったりすることをこれからやめることを誓いますと」
「書けばいいんだろ!」
こうしてマジでスラスラと書いたでは無いか!
「ではもう1つお願いをします、私と婚約破棄をして下さい!」
「何だと!許さないぞ!」
「待った!公爵家であることを威張るのは禁止しましたよね?」
「な……!」
しかし私が紙を見せてやったので半泣きになりながら言う……
「おのれ無礼者め!公爵家の力を見せてやるわ!」
こう言いながら帰ったけど、
こっちにはこの紙がある、筆跡でもミケル様が書いた以上、もちろん法的な効果など無いが、面目で敗北するのはミケル様だ。
きっと公爵家も文句を言ってこないはず……
こう思っていたらミケル様は追放されたらしい。
何故か?公爵様が他の貴族に語った所、
「他家に言いくるめられるような馬鹿息子などいらん!」
とのことらしい、当然婚約は解消された。
……なるほど他家に威張って横暴な息子は許しても、負けるボケは許さないって家でしたか……
こうして、何かトンチみたいに問題が解決して良しと思ったら、
2つ問題ができた!
1つは些細なことだ、
ミケル様改めミケルが、
「僕を助けてくれよ」などと情けなくすがって来るが、当然無視して追い返す。
だがその様子とあの横暴極まりなかったミケル追放に貢献してしまったことで、
何か私がコワモテ令嬢扱いされるようになってしまった!
こ……これでは新しい方が見つかりませんわ!
こうして焦るのであった……
ミケル……貴方はメンタルが下っ端だったのよ……
だって身分が高いものってのは、別にそれだけで下がへつらうのだから、わざわざ威張らなくていいのよ。
それを持て余してたからこそ、威張って何とかしようとしてたのでしょう?
だからこそ貴族の評判を実は気にしていて(本当にミケルが言うレベルで偉いのならば気にしなくて良かったですよね?)婚約破棄が嫌なあまり、自爆するようなことになったのよ……!
気にする程度なのに、無敵な振りをしないといけないのが、まさにメンタルが下っ端の証拠だったのよ!

