切なくて、苦しくて、どうしようもなく――愛おしい。
治癒の光が、最後の傷を塞いだ瞬間。
張り詰めていた糸が切れたように、雫の全身から一気に力が抜けた。
「……っ」
崩れ落ちそうになる体を、今度はルカが抱きとめる。
さっきとは、逆だった。
「……雫……」
腕の中で呼ばれる名前が、遠く感じる。
ぼんやりとした意識の中で、雫はルカを見上げた。
涙で濡れた、赤い瞳。
弱さも、痛みも、全部さらけ出したその瞳が――
(……綺麗……)
そんなことを思って、雫はかすかに微笑んだ。
この人を守りたい。
世界中を敵に回しても。



