「違うよ……」
雫の声も震えていた。
大粒の涙が頬を伝い、ぽたぽたと落ちる。
「ルカが……ルカが、私に優しさをくれたんだよ……
誰かと一緒にいることのあったかさを……教えてくれたんだよ…!」
雫は首を振って必死に否定する。
「ルカは怪物なんかじゃない……っ!!」
胸の奥から、叫ぶように言い切った。
「ルカは……ルカはただの、優しくてあったかい……
私と同じ……普通の、男の子なんだよ!!!!」
部屋の外では、今も人間たちの足音が響いている。
怒声も、物音も、確かに近くにあるはずなのに――
そんなことが、どうでもよくなるくらい、ただ悲しかった。
ルカは何もしていない。
心優しい、普通の男の子なのに。
どうして、こんなふうに自分を責めなきゃいけないのか。
何も悪いことをしていない人は、苦しまなくていいはずなのに。
この気持ちを、全部伝えきれないのが、もどかしかった。



