「いや」
ルカが、雫の腕を軽く掴んだ。
「……俺一人で平気だ」
静かな、けれどはっきりした声。
「雫は家で待ってろ」
「あ……うん、分かった!」
雫は小さく頷くと、すぐに表情を和らげた。
「気をつけてね」
そう言って、ひらひらと手を振る。
ルカはそれに小さく頷き返し、踵を返して、闇の森へと歩き出した。
雫はその背中が木々の影に溶けていくのを見届けてから、扉を開け、
家の中へと戻っていった。
外の夜気が遮断されると、家の中はしんと静まり返る。
靴を脱ぎ、いつものように奥へ進む。
無意識の足取りでソファの前まで来て、雫はそのまま腰を下ろした。
「……」



