「……ずるい」
思わず、ぽつりと零れる。
「なにがだ」
「内緒にするところ」
そう言うと、ルカは小さく笑った。
「期待しておいてくれ」
何でもないことのように言って、また前を向く。
雫は慌てて視線を逸らした。
頬が熱い。
月明かりの下。
二人の影が、並んで伸びていく。
この夜が少しだけ特別なものになるということを、雫はまだ知らなかった。
そうして、歩くこと数分。
不意に、ルカが足を止めた。
「……?」
雫もそれに倣って立ち止まり、不思議そうにルカを見上げる。
月明かりに照らされた赤い瞳が、ほんの一瞬、優しく細められた。
その次の瞬間だった。



