「……秘密だ」
そう言って、楽しそうに口元を歪める。
「行ってからのお楽しみ、ってやつだな」
いたずらっぽい笑み。
次の瞬間、ルカは人差し指を軽く唇に当てて――
『しーっ』と、小さくジェスチャーをした。
その仕草があまりにも自然で。
あまりにも、少年らしくて。
雫は、思わず目を見開いた。
「……!」
胸が、どくん、と鳴る。
吸血鬼だとか。
怪物だとか。
そんな言葉が、全部どうでもよくなるくらい。
今、目の前にいるのは――
ただ、楽しげな顔で夜の森を案内してくれる、少し意地悪で、
でも、誰より優しい男の子だった。



