それでも。 扉は、雫を待つように、静かに開いたままだった。 まるで―― 今夜しかない、と言っているみたいに。 雫はゆっくりと布団を抜け出した。 一歩。 また一歩。 床板が軋む音に、心臓が跳ねる。 それでも、扉は閉じなかった。 雫は、そっと手を伸ばす。 指先が、扉の縁に触れた。 その瞬間、胸の奥に、今まで感じたことのない感情が生まれる。 恐怖よりも、罪悪感よりも―――強い、期待。 雫は、小さく息を吸い込んだ。 そして、扉の向こうへ、足を踏み出した。