「……雫って、森に来る前は何してたんだ?」
「えっと……お掃除とか……あ、洗濯も」
「……家政婦か?」
「ち、違うよ……!」
そんな他愛もないやりとりに、くすくすと笑い合う。
気づけば、ルカの方から話すことも増えていた。
昔、町で見かけた不思議な人の話。
人間に扮して薬草を買いに行ったときに、値切りに失敗した話。
夜の森で、鹿と遭遇した話。
「……すげぇびっくりして、せっかく集めた木ノ実全部落としちまった」
そう言いながら、どこか悔しそうな顔をする。
雫は、その横顔を見て、胸の奥がじんわり温かくなる。



