「一応食べれはするけど……養分にならねぇからな。
腹減ってんだろ。雫が全部食え。」
雫はその言葉に、少し驚きながらも、ふっと小さく笑ったような声で
「そっか……」と呟く。
そしてまた、手に持ったパンにかぶりついた。
パンの香ばしさとバターの濃厚さが口いっぱいに広がり、
幸せそうに頬を染める雫を見て、ルカは自然と微笑む。
「ゆっくり、落ち着いて食べろ。慌てすぎると喉詰まらすぞ。」
雫はそのまま、夢中でパンをかじり、幸せそうな笑顔を絶やさない。
「ごちそうさまでした。」
雫は手を合わせ、満足そうに微笑んだ。
そうして朝食を終えた雫が、椅子から立ち上がろうとした、
その時だった。
ガタン、と小さな音を立てて、ルカが先に動く。
雫が声をかけるよりも早く、空になった皿やカップを手に取り、
隣の部屋へと運んでいってしまった。
「……あ」
一瞬遅れて、雫ははっと目を見開く。



