そして口に運ぶ――
次の瞬間、幸せが口いっぱいに広がった。
パンの香ばしさと、ジュワッと広がるバターの濃厚な味わい。
胸の奥まで満たされる感覚に、雫は思わず息を漏らした。
「ん......っ、美味しい……!!」
口に運ぶたびに幸せが広がり、頬を抑えずにはいられない。
その顔は、まるで子どものように無垢で、純粋な笑顔に満ちていた。
その様子を、正面の席から頬杖をついて見つめるルカ。
幸せそうな雫の笑顔を前に、胸の奥がじんわり温かくなる。
ルカは満足げに、そしてどこか愛おしげに微笑みながら、
静かに雫の姿を見守っていた。
パンの香りと温もりに包まれた、柔らかくて優しい時間だった。
雫がふと、正面からじっと自分を見つめるルカの視線に気づいた。
「あ、ルカ……食べないの?」
雫が手に取ったばかりのフランスパンを差し出すと、
ルカは軽く首を振った。



