それから――
ふっと、力の抜けた笑みを浮かべた。
困ったようで、でもどこか柔らかい表情。
先ほどまでの無防備さが、まだ少しだけ残っている。
「……別に、嫌じゃねぇ」
ぽつりと、そう言ってから、少しだけ視線を逸らす。
それから、何かを思い出したように、軽く咳払いをした。
「それより」
言葉を切り、雫の方を見る。
「……食いもんあるけど、食うだろ?」
短く、ぶっきらぼうな言い方。
けれど、その声は穏やかだった。
「ちゃんと人間のだ。薬草を買いに町に出た時、少し――」
言いかけて、途中で止まる。
雫の様子を窺うように、赤い瞳が揺れた。
「……腹、減ってるだろ?」
その一言に、雫は一瞬、きょとんとした。



