* * * 夜中、ふと目が覚めた。 理由は分からない。 悪夢を見たわけでも、物音がしたわけでもなかった。 ただ、胸の奥がざわついた。 雫は布団の中で身を起こし、無意識に部屋を見回す。 そして――息を止めた。 扉が、開いていたのだ。 ほんの少し。 人がひとり、すり抜けられるくらいの隙間。 雫の部屋の扉は、いつも鍵がかけられている。 それが当たり前だった。 生まれてから十八年、一度たりとも例外はなかった。 「……え……?」 声は、喉の奥で消えた。 見間違いかと思い、何度も瞬きをする。