「……」 雫は、そっと目を伏せる。 胸の奥に浮かぶのは、恐怖ではない。 哀れみでもない。 ――守りたい、という感情だった。 それがどれほど危険で、どれほど世界に否定されるものなのか。 この時の雫は、まだ知らなかった。 やがて―― 雫に触れていたおかげなのか、ルカの身体から、はっきりと力が戻って いくのが分かった。 「……ん……」 喉の奥から、吐息混じりの小さな声が漏れる。 ルカはゆっくりと体を起こし、雫の肩から身を離した。