ルカは小さく息を吐く。
その吐息すら、どこか苦しそうで。
「俺は吸血鬼だ。吸血鬼の味方をするやつは、人間でも処刑されちまう。
それくらい、知ってんだろ。
………俺はお前とは違う。人間じゃねぇんだよ。」
そう言って、無意識に一歩、後ろへ下がる。
朝の光から距離を取るように。
その瞬間だった。
雫の身体が、自然と前に出ていた。
考えるよりも先に、ルカとの距離を詰めていた。
「……!」
ルカが驚いたように目を見開く。
「っ、何して――」
「……大丈夫、です」
雫は、そう言いながら、ルカの袖をそっと掴んだ。
触れるか触れないかの、ぎりぎりの距離。
それでも確かに、指先から体温が伝わる。
ルカは、はっと息を呑んだ。



