「……もう、朝……?」
小さくそう呟くと、雫は窓の方へ視線を向ける。
森の夜を溶かすように、朝の光がゆっくりと世界を満たしていく。
怖かった夜が終わるはずなのに――なぜか、不安が胸に広がった。
ルカは一度、視線を逸らした。
それから意を決したように、雫をまっすぐ見る。
「……雫、ここを出ろ。」
はっきりとした声。
けれど、その奥にあるものは、拒絶ではなかった。
「この森も、昼のうちは安全な道がある。
………森を抜ければ、すぐに町も見えてくるしな。」
言葉が、少しずつ歪む。
喉の奥で、何かを飲み込むような間。
「……俺と一緒にいると危ねぇ」
雫は、瞬きをした。
予想していたはずの言葉なのに、胸の奥がちくりと痛む。
「……危ない、って……」
問い返す声は、思ったよりも弱かった。



