「……ふふ……」
小さく、くすくすと笑い声が零れる。
「ううん、大丈夫……。平気だよ」
そう言って、目の淵に溜まった涙を、もう一度そっと拭った。
そして顔を上げ、ルカを見上げて柔らかな笑顔を浮かべる。
その笑顔は、泣いていたことすら忘れさせるほどに穏やかだった。
その時、窓の外から、淡く柔らかい、温かな光が差し込んだ。
……夜明けだ。
それに気づいたルカは僅かに顔をしかめると、目の前の雫に向き直り言った。
「……夜が、明けた」
低く、噛みしめるような声だった。
ルカは窓の外から差し込む光に、ほんのわずか肩を強張らせる。
淡い金色の光は優しく見えるのに、彼にとっては刃のようだ。
雫はその仕草を見逃さなかった。
無意識に、胸の奥がきゅっと縮む。



