膝の上に置かれた手は無意識に握り拳を作り、爪が食い込むほど
強く手のひらを握りしめている。
――この力を知った人間の大半は、不気味がって化け物扱いするか、
あるいは金儲けの道具として利用するかのどちらかだからだ。
ルカはそんな雫を苦しげな表情でじっと見つめると、再び口を開いた。
「……代償は、痛みの請け負い……か?」
躊躇ったように、ほんの僅かに声が震えていた。
想像していた言葉と違った雫は、思わず呆気にとられたような顔をして、
掠れた声で答える。
「え……、うん。」
するとルカは、さらに悲しげで、どこか切なげな表情に変わり、
そっと雫の手を取った。
驚いたように顔を上げる雫。
その手を包み込むように握りしめたルカは、絞り出すように、
しかし真っ直ぐな声で言った。
「……傷、治してくれてありがとな。けど……もう、その力は使うな」
雫にとって予想外のセリフだった。



