もしも――
もしも、この世界に来世なんてものがあるのなら。
次こそは、普通の人間として雫に出会いたい。
何も背負わず、何も奪わず。
ただ、当たり前みたいに隣に立つ。
それで、今度こそ――
雫に、この想いをちゃんと伝えるんだ。
そんな夢みたいな未来を、最期にほんの一瞬だけ思い描いて。
静かに目を閉じた。
――カチャン。
重い音が響く。
刃を下ろす準備音なのだろう。
誰かが合図を出す気配がした。
「――処刑開始まで三秒。」
無情に、カウントが始まる。
「……3」
空気が張り詰める。
「2」
雫の震えた声が、遠く聞こえる。
「――1」
―――――俺に、たくさんの“初めて”をくれた人。
雫と出会ってから、世界は変わった。
色も、温度も、時間の流れさえも。
血に塗れるだけだったはずの俺の人生が、
こんなにも、優しくて――幸せなものになるなんて。
全部、お前のおかげだ。



