* * *
そのすべてを、ルカは静かに聞いていた。
目を閉じたまま、ほんのわずかに――
口元が、震えた。
あぁ――
俺は、こんなにも愛されていたんだな。
胸の奥に、静かに何かが満ちていく。
恐怖も、後悔も、全部その奥に押しやられていくみたいに。
ただひとつ、あたたかいものだけが、確かに残った。
気づけば、一筋の涙が頬を伝っていた。
ぽたり、と。
冷たいはずのそれが、不思議と温かく感じた。
ゆっくりと、目を開ける。
視界の先――
フェンスの向こうで、壊れそうな顔で叫び続けている雫がいる。
「……っ」
自然と、口元が緩んだ。
泣きながら、笑っていた。
自分でもわかるくらい、不格好で――
それでも、どこか満ち足りた、柔らかい笑み。
(……かなわねぇなぁ)
声には出さない。
出せば、きっと崩れてしまうから。



