終わりから始まる恋を、君と

開いたことが一度もない、外と家を隔てる窓。

厚い木板が打ちつけられ、外の光は細い隙間からしか入らない。

昼なのか夜なのか、鈴宮雫にはもう分からなかった。

部屋は狭く、ひどく静かだった。

「――雫。」

呼ばれて、雫は顔を上げる。

扉の向こうに立つ母の声は、いつも同じ調子だった。

優しくもなく、怒ってもいない。

ただ、用事があるときの声。

「こっちに来て」

雫は黙って立ち上がる。

床に足をつけた瞬間、昨日の“痛み”が思い出された。

歩くたびに、足がじんと熱を持つ。

骨を砕かれたような感覚。

呼吸をするだけで胸が軋む。

――でも、大丈夫。

雫はそう自分に言い聞かせることに慣れていた。