ルカが、視線を向ける。 「……なんだ」 短い返事。 けれど、拒絶の色はない。 雫は、膝の上で指を絡めた。 心臓の音が、耳にうるさい。 「……私……」 一度、言葉を切る。 自分の名前を口にするのは、“呼ばれるため”。 利用されるためでも、命じられるためでもなく....だ。 「……鈴宮雫、って、言います。」 小さく、でもはっきりと。 ルカは少しだけ目を見開いた。 それから、短く頷く。 「……雫」 名前を、確かめるように口にする。 それだけで、胸の奥が、ふっと軽くなった。