そのときだった。 ざわり、と人の流れが一方向に向く。 ざわめき。 誰かの声。 「……処刑だってよ」 「吸血鬼の……」 雫の足が止まる。 ゆっくりと、視線が広場の中心へ向かう。 そこにあるものを理解するのに、少し時間がかかった。 高い台。 兵士たち。 そして―― (……あ) 息が止まる。 そこに、いた。 雫が探していた人が。 動かないまま、縛られて、俯いたままの姿で。 ルカが。 雫の中で、何かが音を立てて崩れた。 「……ル……カ……?」