(どこ……行ったの……)
答えのない問いだけが、胸の中で何度も反響していた。
きっと、すぐに帰って来る。
だから大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、雫は洞窟に座り続けた。
言い聞かせないと。
そう信じないと、生きていられなかった。
朝が来て、夜が来る。
風の音が変わっても、木々の影が揺れても。
それでも、ルカの気配だけは戻らない。
「……ちょっと遠回りしてるだけだよ。」
自分に向けて言う声は、だんだん弱くなっていく。
二日目。
三日目。
食べ物を口にしても味がしない。
夢の中でもルカの背中を探してしまう。
(どこにも行ってない。絶対に)
そのはずなのに。
確かめに行く勇気もないまま、時間だけが積み重なっていく。
そして三日目の夕方。
雫は、ふらりと立ち上がった。



