翌日。
「おはよ……ルカ」
寝起きのまま、半分夢の中みたいな声が洞窟に落ちる。
返事はない。
雫は目をこすりながら、ゆっくり上体を起こした。
隣にあるはずの気配が、そこだけぽっかりと抜け落ちている。
(……外?)
一瞬そう思って、外の方へ視線を向ける。
洞窟の入口。
朝の光が白く差し込んでいるだけで、人影はない。
嫌な予感が、胸の奥で小さく跳ねた。
「ルカ……?」
今度は少しだけ声が強くなる。
立ち上がる。
足元がふらついて、岩に手をつく。
洞窟の中を見回した。
―――――ルカがいない。
「……っ」
喉の奥がきゅっと詰まる。
雫は洞窟の出口へ走った。
足が岩にぶつかって、やけに大きく響く。



