「……ほんと、俺は自分勝手だよな」 自嘲のような声が、洞窟の静けさに溶ける。 守りたい。 一緒にいたい。 幸せにしたい。 全部が矛盾している。 それでも、その全部が“本音”だった。 ルカはゆっくりと立ち上がる。 洞窟の入口へ向かう足は、迷いなく見えて―― その実、一歩ごとに重かった。 振り返る。 雫はまだ眠っている。 その姿を、目に焼き付けるように見つめてから。 ルカは小さく、誰にも届かない声で呟いた。 「……ありがとな。」 そして、もう一度だけ雫を見て。 今度こそ、背を向けた。