* * *
深夜。
月明かりが洞窟の入口から差し込んでいる。
不意に、ルカはゆっくりと起き上がった。
音を立てないように。
呼吸さえ殺すみたいに。
隣で眠る雫の呼吸が、規則正しく上下している。
そのたびに胸の奥が、少しだけ痛んだ。
(……これでいいんだ)
もう何度目か分からない言葉を、心の中で繰り返す。
守るためには、距離を置くしかない。
巻き込まないためには、自分がいなくなるしかない。
それが、最善だと分かっている。
頭では、何度も何度も理解してきた。
それでも、もっと早くにそれができなかったのは―――。
.........自分勝手な、欲望のせいだった。
ルカは雫の顔を見下ろす。
眠っているその表情は、あまりにも無防備で。
あまりにも――信じきっている顔だった。



