終わりから始まる恋を、君と


「……終わらせる方法だ」

洞窟の奥で、空気が静かに変わる。

雫の指先が、ゆっくりと冷えていく。

ルカの横顔は、もう“守る側”の顔だけじゃなかった。

何かを決めてしまった人間の顔だった。

「..............っ、とりあえず、今日はもう休もう?

後のことはまた明日。ね?」

嫌な予感がして、早々に話を切り上げる。

ゴツゴツした岩肌の上に葉を敷いただけの寝床に横になった。

雫の言葉に、ルカは一瞬だけ視線を落とした。

「……あぁ」

短く、それだけを返して同じように横になる。

けれど、その声にはどこか引っかかるものがあった。

雫は背中を向けたまま目を閉じる。

意識はすぐには落ちなかった。

――さっきのルカの目。

あの暗い色。

まるで、何かを決意した人の目。

(……気のせい、だよね)

そう思おうとしても、胸の奥のざわつきは消えない。

隣で、ルカが小さく身じろぎをした気配がした。

寝返りの音。

けれど、それは雫の方へ寄ってくるものではなかった。

少しだけ距離を置くように。

まるで、雫をそこに置いていく準備をするみたいに。

言葉にはできない不安が、喉の奥に引っかかる。

それでも疲れには勝てず、雫の意識はゆっくりと沈んでいった。